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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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セグウェイ発明家による「スターリングエンジン+電気」バイク

2009年7月 4日

立ち乗り電動スクーター『Segway』の発明で知られるDean Kamen氏が現在、スターリングエンジンと発電機、バッテリー、電動モーターを組み合わせたハイブリッド型スクーターの開発に取り組んでいる。スターリングエンジンは、外部から熱を加えてシリンダーを動かし動力を得る外燃機関で、Kamen氏のバイクではほぼどんな燃料でも使えるという。自動車関連ニュースのYouTubeチャンネル『Fast Lane Daily』がこのバイクの概念図を紹介している(元ネタはGizmagの記事)。

Gizmagによると、Kamen氏が自宅近辺で試作バイクを乗り回している様子が目撃されているとのこと。また動画では、同氏が米軍と協力してスターリングエンジンを搭載したロボットの開発にも取り組んでいると紹介している。このロボットは木材や木の葉を燃やしてエンジンを動かすことができ、充電する必要がないという(この話題を締めくくる「チャック・ノリスとも呼ばれている」というジョークは、弾倉を交換することなく無限にマシンガンを撃ち続けるB級アクション映画のキャラクターのイメージからだと思う、たぶん)。

Kamen氏はスターリングエンジンにかなり入れ込んでいるようで、これを発電機として使う「高効率の蒸留型浄水器」を2008年3月のワイアード記事が紹介しているし、同年11月には「スターリングエンジン+電気」のハイブリッド自動車の試作品を公開している。

また、Segway自体も、その正体が明らかになる前は「水素を燃料とするスターリングエンジンが使用される」と予想されていた。なお、古い記事では同氏の姓名を「ディーン・カーメン」と表記していたが、姓は正しくは「ケイメン」と発音するようだ。

余談だが、Segwayが映画の小道具として活躍するアクション・コメディー『Paul Blart: Mall Cop』が今年1月に米国で封切られ大ヒットした。製作費2600万ドルだが公開週末に興収3180万ドルを達成して1位発進、世界興収は5月上旬までに1億8000万ドルを超えた(BOX OFFICE MOJO)。ケヴィン・ジェイムズ扮するショッピングモールの警備員が、Segwayに乗って広大なモール内を巡回している。

平和なモールが一転して強盗団に占拠され人質も取られるなか、おデブの警備員が人質救出に孤軍奮闘する、という『ダイ・ハード』のパロディも楽しめる娯楽作だが、監督(スティーブ・カー)も主演も日本では知名度が低いのでDVDスルーかもしれない。

下の動画では、同作品のプレミアでケヴィン・ジェイムズがSegwayに乗ってレッドカーペットに登場している。めちゃめちゃ乗りこなしてます(笑)

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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