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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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ダンスフロアの振動で発電するクラブ、オランダにオープン

2008年8月19日

クラブシーンにもいよいよ“エコの波”が到来です。オランダのロッテルダムで9月2日に開店する(オープニングアクトを務めるのはイギー・ポップ)、その名も『Club Watt』。この店の目玉は、客が踊ったり跳ねたりする際のフロアの振動を利用して発電し、照明などの電源に利用すること。

『SPIEGEL ONLINE』の記事によると、Club Wattのダンスフロアは1センチほど上下するよう設計されていて、電磁誘導を応用したシステムで振動エネルギーを電気に変換。1人につき5~10ワットの発電が可能で、2000人程度が踊っていれば店内を明るくできるのだとか。一般家庭の150倍もの電力を消費するナイトクラブで使う電気すべてをまかなうことはさすがに無理だけれど、30%程度の節電効果を見込んでいるそうです。

店の設計に協力したのは、環境関連技術の革新に取り組むオランダの団体『Enviu』で、同団体のプロジェクト『Sustainable Dance Club』(SDC:持続可能なダンスクラブ)の記念すべき第1号が、このClub Wattというわけ。以下は、『BBC World』などで放映されたというSDCのイメージ動画。

もっとも、“発電する床”というアイディア自体は新しいものではなく、ウィキペディアの「発電床」の項によると、1998年に積水ハウスが「発電する床の発明」を特許申請しているそうです。なお、この項にも登場する神奈川県藤沢市のベンチャー企業、音力発電のサイトの製品情報によると、「発電床」という名称は同社の登録商標だとか。

大ざっぱに“人力発電”とくくるなら、ワイアードの記事でも過去に『1分歩くと10分携帯が使える:「筋力発電」装置のいろいろ』のほか、「歩くと携帯電話を充電してくれる靴」や「モトローラの手回し式携帯電話充電器」などを紹介してきました。この手の技術がもっとたくさん商品化され、一般の消費者にも手の届く価格帯で普及するといいですよね。たとえば、『Wii Fit』や『ダンスダンスレボリューション』といったフィットネス系のビデオゲームと人力発電を組み合わせれば、フィットネスと発電の一石二鳥になるわけで。まあ、発電効率が課題になるとは思いますが、せめてゲーム使用時の消費電力ぐらいはまかなえるといいですね。

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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