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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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別格だった『アバター』IMAX 3D版&「第5のIMAX館」が首都圏に?

2010年2月12日

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(c)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.

昨年12月下旬の封切りからもうすぐ2ヵ月になろうというのに、世界歴代興行収入第1位達成、アカデミー賞で『ハート・ロッカー』と並ぶ最多9部門ノミネート、日本での興収100億円突破と、まったく話題が尽きないジェームズ・キャメロン監督の『アバター』。筆者は2D字幕版と3D(XpanD方式)字幕版を12月に観ているが、気になっていたIMAX 3D版を今週ようやく鑑賞することができた。場所は109シネマズ川崎IMAXデジタルシアター。

ストーリーについては前回のレビューで紹介したので繰り返さないが、その際に触れた冒頭のパースペクティブを強調した船内ショットでまず、IMAXのスクリーンサイズの大きさと輝度の高さの優位性がはっきり現れる(IMAX 3Dシステムでは2台のプロジェクターで右目用と左目用の映像を別々に投射するため、プロジェクター1台の他方式に比べて明るくなる)。船の奥の方まですっきりと見通せて、カプセルから起き出した海兵たちそれぞれの動きもよく分かる。

すべてCGで描かれた衛星パンドラの世界では、薄暗いジャングルの動植物や夜のシーンで、高いコントラスト比により立体感が向上しているのが確認できた。逆に日中のシーンでは、明るすぎるせいなのか背景でのCGの平板さや、CGクリーチャーの動きのぎこちなさが若干目立ってしまう部分も感じられた。もっとも、これらは3度目の本編鑑賞で細部まで目がいくようになったせいもあるかもしれない。全体的にはやはり他の3D方式に比べたら別格の素晴らしさで、可能ならば国内に現在4スクリーンあるIMAXデジタルシアターで鑑賞することをお薦めしたい。

なお、109シネマズを展開する東急レクリエーションの担当者に今後のIMAXスクリーンについて聞いたところ、「現在IMAX本社と首都圏に5番目のスクリーンを作ることで交渉中」との答えだった。交渉次第では、現在関東地区に8ヵ所ある109シネマズのうち川崎と菖蒲を除く6館(佐野、高崎、木場、町田グランベリーモール、横浜みなとみらい、港北)のいずれかで年内オープンとなるかもしれない。今後も順調に対応スクリーンが増えて、全国でより多くの映画ファンがIMAX版を楽しめるようになることを期待したい。

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IMAXデジタル・プロジェクター。2台のプロジェクターで右目用と左目用の映像を別々に投射する。 (画像提供:東急レクリエーション)


[作品情報]
『アバター』 原題 Avatar
公開中
公式サイト
20世紀フォックス映画 配給
109シネマズ IMAXデジタルシアター

[こちらは最近IMAX社がYouTubeにアップした『Hubble 3D』の予告編。『アバター』のCGも素晴らしいが、実写3Dの宇宙ドキュメンタリーも早く観たい。]

[関連エントリ]
映画『アバター』:ゼロ年代の最高傑作をお見逃しなく
『アバター』プロデューサー、ジョン・ランドー氏にインタビュー
そして3D映像は“必然”になった--「アバターの日」@川崎IMAX
『Avatar』、映画史を変えるか--24分の3D映像が初披露

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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