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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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3D映画特集(終):マイケル・ジャクソンの「幻の公演」が3Dに

2009年8月14日

(5)から続く

処方薬中毒が死亡の一因になったのではとも言われるマイケル・ジャクソン。6月25日に急逝する直前まで、ロンドンで7月8日に開始予定だったコンサート"THIS IS IT"(上の動画はそのテレビCM)のリハーサルを行なっていた。この何百時間にも及ぶリハーサルとバックステージの映像を使用した劇場映画『THIS IS IT』が、10月30日から世界同時公開される。監督は、同公演のクリエイティブパートナーだったケニー・オルテガ(『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』監督・振り付け)。日本ではソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給により2週間限定で全国公開され、本編の一部に3D映像が使われることも明らかになった。

MarketSawの記事によると、同公演ではステージの巨大なビジョンに3D映像を映し出す演出が計画されており、米Pace Technologies社の『Fusion 3D Camera System』を使ってリハ中に撮影が行なわれたという。このカメラはジェイムズ・キャメロン監督が開発に関わっており、同監督の新作『アバター』の撮影にも使われている。

マイケルと3D映像と聞いてまず思い出すのは、ディズニーランドのアトラクションで上映された17分の短編作品『キャプテンEO』(ジョージ・ルーカス製作指揮、フランシス・フォード・コッポラ監督)。YouTubeなどにもいくつかアナグリフ方式の動画がアップされているが、手元の赤と青(正確にはシアン)のメガネできちんと立体感が確認できるのは残念ながら見つからなかった。

代わりというわけでもないが、『We Are The World』のPVを2Dから3Dに変換したという動画が、YouTubeの3D機能を使って投稿されていた。以下はそのワンシーンのキャプチャ画像で、アナグリフのメガネを持っている方は確認してみてほしいが、そこそこ立体感が出てるのがお分かりいただけると思う。また、リンク先のYouTubeのサイト上では3D表示方式を変更できるので、興味のある方は試していただきたい。

MJ.jpg

ついでに、本格的に3D制作されたPVとして、ビョークの『Wanderlust』を紹介しておきたい。これはWired.comの記事上でmov形式の3D動画がアナグリフのメガネを使って閲覧できる(下はキャプチャ画像)。やはりソフトウェアでの変換とは違い、撮影段階から3D用にステレオカメラで収録されたものは深い奥行きが感じられる。リンク先のページには、3Dのほか2Dバージョンと、メイキング動画も掲載されている。

wanderlust_3d.jpg

劇場用の3Dコンサート映画としては、日本では今年、U2の『U23D』のほか、『ハンナ・モンタナ ザ・コンサート 3D』『ジョナス・ブラザース ザ・コンサート 3D』も公開された。

終わりに:日本公開予定の3D映画リスト

当初は3回か4回程度のつもりだったが、今週はタイミング良くマイケルの映画や『アバター』IMAX 3D版のニュースもあり、計6回にわたる特集となった。次々に新しいニュースが届くのも3D映画が盛り上がっている証拠だろう。特集の締めくくりに、日本で公開が決まっている3D映画の一覧を記しておく。

2009年

  • 9月19日『くもりときどきミートボール』(ソニー・ピクチャーズ初の3Dアニメ映画)
  • 10月3日『とびだす!3D東映アニメまつり』(デジモンと鬼太郎など4本立て)
  • 10月17日『戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH』(清水崇監督、邦画初のデジタル3D実写長編)
  • 10月17日『ファイナル・デッドサーキット 3D』(シリーズ第4作のホラー)
  • 10月30日『THIS IS IT』(マイケル・ジャクソンのコンサート映画、一部3D)
  • 11月14日『Disney's クリスマス・キャロル』(ロバート・ゼメキス監督、ジム・キャリー主演)
  • 12月5日『カールじいさんの空飛ぶ家』(ピクサー初の3D長編アニメ)
  • 12月18日『アバター』(ジェイムズ・キャメロン監督)

2010年
  • 3月『Gフォース』(ジェリー・ブラッカイマー製作、モルモットが主人公のスパイアクション)
  • 4月17日『アリス・イン・ワンダーランド』(ティム・バートン監督、ジョニー・デップ主演)
  • 5月『トイ・ストーリー 3D版』『トイ・ストーリー2 3D版』
  • 7月『トイ・ストーリー3』
  • 『OceanWorld 3D』(海洋ドキュメンタリー)
  • 『アース 3D』(2008年公開のドキュメンタリーの3D化)
  • 『牙狼<GARO> ~RED REQUIEM~』


[過去の3D映画レビュー]
『アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの』
『モンスターVSエイリアン』
『U23D』
『ブラッディ・バレンタイン 3D』
『センター・オブ・ジ・アース』

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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