このサイトは、2011年6月まで http://wiredvision.jp/ で公開されていたWIRED VISIONのコンテンツをアーカイブとして公開しているサイトです。

合原亮一の「電脳自然生活」

環境問題から生き方まで、地球ととことん付き合う方法論を模索する。

キーボードのオーバーホールで思わぬ苦戦

2010年9月17日

真夏の夜の悪夢2題の最初へ

2番目の悪夢の最初へ

キーボードをMacBook Airのトッププレートに固定している数十本のネジを抜いて、ついにキーボードを取り外すことが出来た。残ったのは、キーパターン通りに穴があいたトッププレードだけだ(写真)。

Air4.jpg

直ちに取り外したキーボード部分のオーバーホールに入った。外した「キーボード・アッシー」をぬるま湯で洗浄する。水を切って新聞紙の上に置いたのが下の写真だ。

key6.jpg

びっくりした人がいるかもしれないが、基盤は水洗い出来る。何らかの電圧がかかっていると、ショートして壊れる危険があるので、電源回路や高電圧回路などは事前に放電させる必要があるが、パソコンの基盤などは電源やバッテリーを外してアースしておけば洗浄出来るものが多い。ただそれなりの知識が必要なので、自信がない人は手を出さないことをお勧めする。

例えば携帯電話を水没させた場合も、即座にバッテリーを抜き、水を切って充分乾燥させれば問題なく動くことがある。危ないのは、完全に乾燥する前に、待ちきれずに電源を入れてしまうことだ。内部に水が入ってショートした状態でスイッチ類を触ると、電気が流れて壊れてしまうからだ。

そもそもキーボードは、スイッチがキーの数だけ並んでいるだけで、回路というほどものでもない。ノートパソコンでは薄型化のため、上下2枚のフレキシブル基盤に配線を印刷し、キーを押して2枚のシートの接点どおしを接触させることでスイッチにしている。

実際の構造はもう少し複雑で、押さない時に接触してスイッチが入ってしまうと困るので、2枚のシートの間にもう1枚プラスチックの絶縁シートをが入っている。絶縁シートにキーの下だけ穴が開いていて、キーを押せば穴の上下の接点が触れてスイッチが入り、キーを離せば上下のプラスチックシートの弾性で接点が離れてスイッチが切れるという単純な仕組みだ。

醤油は導電性があるので、スイッチが入りっぱなしになってしまう。また腐食性もあるので、乾燥する過程で接点の表面に酸化膜を作って、スイッチが入らなくなってしまう可能性もある。シートに付着した醤油を洗い流せば、動くようになるはずなのだ。

MacBook Airのキーボードは、打ち抜いた薄いメタルシートの上に、3枚のプラスチックシートが置かれ、そこに開いた穴からメタルシートを折り曲げたキートップ支持部分がプラスチックシートの上に出ている。その支持部分にパンタグラフを介してキートップが固定されている。プラスチックシートとキートップの間には、キーの力を接点に伝え、力を抜くと弾性でキートップを押し戻す、シリコンゴム製と思われる成形シートが入っている。

プラスチックシートはメタルシートとキートップに挟まれているので、キートップを外さないと分解出来ない。予備洗浄したキーボードからキートップを全部外し、シリコンゴムシートも外したのが下の写真だ。MacBook Airのパンタグラフはキートップから外れにくいので、そのまま洗浄し、無くならないように容器に入れてある。

key7.jpg

メタルシートも外したが、ここで困った事実が判明した。3枚のシート、正確にいうとさらにその上に乗っている、キートップ以外に光を漏らさないための遮光シートを入れた4枚のシートが接着されていて、分解出来ないのだ。しかし隙間に醤油が入っている。

仕方ないのでぬるま湯に長時間浸けてみたり、スイッチ部を押して中の醤油を押し出そうとしてみたりした。段々色は薄くなって来たが、完全には抜けてくれない。10回以上洗浄したと思う。自然乾燥させた方が良いので、何時間か直射日光に当ててみたが、ほとんど乾燥しない。仕方無いのでドライヤーで乾燥させる。まだ完全とはいえないが、写真のような状態にたどりついた。

key8.jpg

バックライトや他の部品は充分きれいになっている。これで組み立ててみて、動いてくれると良いのだが。

続く

フィードを登録する

前の記事

次の記事

合原亮一の「電脳自然生活」

プロフィール

川崎重工業人事部・川重米国本社CFOを経てガリレオに参加。ガリレオの業務の傍ら、環境問題、食糧問題に関心を持ち、「電脳自然生活」を目指して有機農業で米、野菜を作る。

過去の記事

月間アーカイブ