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山路達也の「エコ技術研究者に訊く」

地球と我々の未来の行方を左右するかもしれない、環境系技術研究の現場を訪ねる。

赤道直下に花開く、環境空中都市「GREEN FLOAT」(3)

2010年11月26日

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GREEN FLOATで人はどう働く?

タワーの上部は住宅やオフィスになっている。

──高さ1000mのタワー部分には、住宅ゾーンやオフィスゾーンが入ることを想定されていますが、GREEN FLOAT住民はどんな仕事をしているのでしょうか?

GREEN FLOATには自然の材料が豊富にありますから、これを利用したバイオ産業やアグリ産業、例えば医薬品や食品、健康などの研究開発といった拠点にしたいと思っています。

もちろん、GREEN FLOATにはリゾート地としての機能もありますが、それだけだとドバイのように、来られる方の所得や年齢も限定されてしまいます。そういうリゾート地や引退後の保養地ではなく、ちゃんと企業活動が行われる都市という点にこだわりました。

最近では、気候の観測拠点としても有望ではないかというお声もいただいています。

──実現のロードマップはいかがでしょう?

二酸化炭素削減に関して、当社ではカーボン・マネジメントという取り組みを行っています。2011年に竣工する新本社ビルでは、現在に比べて二酸化炭素の排出量を半分に減らします。そこからさらにカーボンゼロへと近づけていき、2030年頃にはGREEN FLOATのようにカーボンマイナスまで持って行ければと思います。カーボンマイナスが実現できれば、二酸化炭素を回収して海洋に隔離するCCSをビジネス化できるかもしれません。

いきなりGREEN FLOATを実現するのは難しいと思いますが、このようなビジョンを提案したことで、さまざまな環境プロジェクトからお声がけをいただくようになりました。「タワー部分はなくていいから、低地部分を生かせないか」「この構造を陸地に応用できないか」、今後はそういう世界の環境プロジェクトと協力させていただくこともあるでしょう。

──今の日本には閉塞感が漂っていると言われますが、それはどんな未来を目指すのかというビジョンが欠けているからかもしれません。そういう意味で、GREEN FLOATのようなコンセプトを企業が提案する意味はけして小さくないように思います。

GREEN FLOATが産官学連携の起爆剤になってほしいですね。協力してくださる研究機関も増え、第1フェーズとして半歩くらいは進んだというところでしょうか。

研究者プロフィール

竹内 真幸(たけうち まさゆき)

1980年3月、早稲田大学 理工学部建築学科卒。1980年4月、清水建設入社。オフィス設計の後、大阪支店計画設計にて大規模プロジェクト事業コンペに取り組む。近年は、全社的なLCV(ライフサイクルバリエーション)提案活動や当社環境指標グリーンコードを推進。現在は設計・プロポ統括 環境・技術ソリューション本部にて、新しい価値を生むこれからの技術&商品の開発と提案を行っている。

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プロフィール

1970年生まれ。雑誌編集者を経て、フリーの編集者・ライターとして独立。ネットカルチャー・IT・環境系解説記事などで活動中。『進化するケータイの科学』、『弾言』(小飼弾氏との共著、アスペクト)、『マグネシウム文明論』(矢部孝教授との共著、PHP新書)など。ブログは、こちら

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