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山路達也の「エコ技術研究者に訊く」

地球と我々の未来の行方を左右するかもしれない、環境系技術研究の現場を訪ねる。

電池不要の「紙」端末が作るセンサーネットワーク(4)

2010年10月29日

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インクジェットプリンターでアンテナを印刷する

専用プリンタを使って、銀のナノ粒子を紙に吹き付けていく。

──紙にアンテナを印刷するというのもすごい技術ですね。

このアンテナは、A4の写真用紙の上に、ジョージア工科大学が独自開発した印刷装置を使って印刷しました。銀のナノ粒子をインクジェットプリンタで吹き付け、オーブンで加熱して紙の上に1枚の銀の板を作ります。

印刷する形状を変えれば、センサーにもなります。例えば、こちらはここが切れていますね。ここにカーボンナノチューブを入れると、特定のガスに触れた時に伝導率が変わるようになる、すなわちガスセンサーになるわけです。

中央の切れ目にカーボンナノチューブを配置することで、センサーとして使えるようになる。

これ以外にも電磁波はさまざまなセンシングに応用できます。こちらの紙は、この空いた箇所にチップを載せるだけで、RFIDタグとして使えるようになります。

紙アンテナの上にRFID用のチップを実装した。(写真出典:"Progress Towards the First Wireless Sensor Networks Consisting of Inkjet-Printed, Paper-Based RFID-Enabled Sensor Tags" by V.Lakafosis, A.Rida, R.Vyas, L.Yang, S.Nikolaou and M.M.Tentzeris Proceedings of the IEEE Vol.98, No.9, pp.1601-1609, September 2010)

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プロフィール

1970年生まれ。雑誌編集者を経て、フリーの編集者・ライターとして独立。ネットカルチャー・IT・環境系解説記事などで活動中。『進化するケータイの科学』、『弾言』(小飼弾氏との共著、アスペクト)、『マグネシウム文明論』(矢部孝教授との共著、PHP新書)など。ブログは、こちら

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