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山路達也の「エコ技術研究者に訊く」

地球と我々の未来の行方を左右するかもしれない、環境系技術研究の現場を訪ねる。

シロアリとパンダで、一石二鳥の生ゴミ処理を実現(1)

2009年10月30日

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パロディ版のノーベル賞と言われる「イグ・ノーベル賞」。2009年は、北里大学名誉教授の田口文章博士が生物学賞を受賞している。冗談のような研究が目立つイグ・ノーベル賞だが、研究自体はまじめなものも少なくない。田口博士の研究は、シロアリやパンダ由来の細菌を使って、水素発生と生ゴミ処理を行うというもの。なぜシロアリ、そしてパンダなのか?

リチャード・ロバーツ博士(1993年、ノーベル生理学・医学賞受賞)と握手する田口博士(写真提供:田口文章)。

ノーベル賞受賞者も参加して作り上げる「イグ・ノーベル賞」授賞式

──イグノーベル賞、受賞おめでとうございます。授賞式はいかがでしたか?

イグノーベル賞なんてものがあることを僕は全然知らなくて。4月頃、イグノーベル賞の委員会から僕がノミネートされているという旨のメールが来て驚きました。メールには受賞したら、それを"accept"してくれるかと書いてある。しかも授賞式への交通費は自腹、宿は関係者の自宅ということで、女房は怪しいからやめておいた方がいいんじゃないかと心配していました(笑)。

授賞式の印象は、陽気なヤンキーたちが企画したエンターテインメント。ハーバード大学のサンダーズ・シアターで2時間に渡って、多数のノーベル賞受賞者を巻き込んだ、オペラあり冗談ありのショーが展開されるのです。式の前には、主催者側から60秒間の短いスピーチをしてくれと頼まれました。その前半は研究内容を一般人にもわかるように面白おかしく、後半は考えさせられる内容にしてくれという、難しい注文を付けてくる。式が始まって、本物のノーベル賞の受賞者が副賞を手渡してくれるのだけど、この人は延々と握手をして、挨拶のカウントが始まってもなかなか離してくれません。慌てて自分のスピーチを始めるのだけど、最初に時間を取られてしまったからどうしても60秒を過ぎてしまう。すると、舞台の袖から小さな女の子が出てきて、「お願いだからやめて」と甲高い声で懇願してくるんですね。サンリオのパンダのキャラクター文具をあげたのだけど、それでも黙ってくれないから、最後には僕も根負けしてしまいました。授賞式が終わった翌日には、隣にあるMITで研究内容を今度こそちゃんと講演することになります。

交通費が自腹だというのはまあなんですが、面白い経験をさせてもらいました。訳がわからなかったけれど、行ってみてよかったですよ。

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プロフィール

1970年生まれ。雑誌編集者を経て、フリーの編集者・ライターとして独立。ネットカルチャー・IT・環境系解説記事などで活動中。『進化するケータイの科学』、『弾言』(小飼弾氏との共著、アスペクト)、『マグネシウム文明論』(矢部孝教授との共著、PHP新書)など。ブログは、こちら

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