太陽熱でビルを冷やす「ソーラー空調システム」の仕組み(2)
2009年10月 9日
──凝縮器を通っている冷却水は、どうやって冷却するのですか?
外気に触れる冷却塔で冷やされます。霧吹きで水を吹くと、水はすぐに蒸発してすっと冷えますよね。冷却塔は、水を細かい粒にして蒸発させ、その気化熱で冷却を行います。
──なるほど、結局、再生器に熱エネルギーを加えるだけで冷熱を作れると。
吸収器から再生器に水溶液を送るためのポンプは必要ですが、それ以外は熱交換機だけで構成されているのが吸収式の特徴です。
電気式冷却器ではコンプレッサーを使って冷媒を気化/液化しますが、吸収式はその代わりに熱を使います。
真空管式の集熱板で太陽熱を集める
──太陽熱を集めるための集熱板は、試験管を束ねたようになっているんですね。もっと平らな板のようになっていると思っていました。
おっしゃるように、家庭で使われている集熱板は平板式といって、板のようになっています。家庭では給湯利用が中心なので、60℃の熱水を作れる平板式でも十分です。しかし、空調には80℃程度が必要となる場合があるので、そのためには高温で取り出しても効率が高い真空管式が適しています。
──真空管でどういうふうに熱を集めるのでしょう?
真空管式にもいくつかの方式があり、この実証実験では3つのタイプでデータを取っています。
例えば、イギリス製のこのパネルですと管の中は真空になっていて、中心をヒートパイプが通っているのが見えるでしょう。ヒートパイプ内には特殊な熱媒が入っていて、熱せられると気化して管の上の方に上っていきます。パネルの上には水が流れており、その水に熱を渡すと、熱媒はまた液化して下に垂れるということを繰り返します。管の中を真空にするのは、集めた熱が逃げるのを防ぐためです。
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