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山路達也の「エコ技術研究者に訊く」

地球と我々の未来の行方を左右するかもしれない、環境系技術研究の現場を訪ねる。

『世界は、石油文明からマグネシウム文明へ』矢部教授の回答(4)

2009年7月15日

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金属マグネシウムの精錬効率は?

──1トンの酸化マグネシウムをレーザーで精錬すると、どのくらいの量の金属マグネシウムになるのでしょう?

100%精錬すると0.6トンです。1回のレーザー照射で半分しかマグネシウムにならなかったとしても、精錬しそこねた分を次のレーザー照射のときに再度混ぜてゆけば、事実上100%精錬できます。

マグネシウムのレーザー精錬所のイメージ。多数のレーザー発生装置が並べられ、太陽を自動追尾するようになっている。

燃料用マグネシウムは、どんな形状になる?

──自動車用や家庭用燃料としてのマグネシウムは、どんな形状になるのでしょう? 粉末だと燃えて危険ですし、塊のままだと燃料として使いづらいのではないでしょうか?

現在は、2mm程度の豆粒のような燃料を使っています。これだと、燃やす直前で水と混ぜることで流動的になり、連続的に注入できます。

研究者プロフィール

矢部 孝(やべ たかし)

現職は、東京工業大学・大学院理工学研究科・教授。1973年、東京工業大学工学部を卒業後、同大学助手に就任。その後、1981年に大阪大学・レーザー核融合研究センター講師、85年に同助教授、1995年には東京工業大学・教授となり現在に至る。また大学発ベンチャー「株式会社エレクトラ」の代表取締役も兼任。1999年の英国王立研究所200周年記念招待講演を行うなど、数多くの賞を受賞。現在、国際数値流体学会の名誉フェロー、計算力学国際連合の理事など。

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プロフィール

1970年生まれ。雑誌編集者を経て、フリーの編集者・ライターとして独立。ネットカルチャー・IT・環境系解説記事などで活動中。『進化するケータイの科学』、『弾言』(小飼弾氏との共著、アスペクト)、『マグネシウム文明論』(矢部孝教授との共著、PHP新書)など。ブログは、こちら

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