ジェットコースターが街中を走る?! 省エネ交通機関「エコライド」(2)
2009年1月30日
中央分離帯を走るエコライドのイメージ図。
地形や環境に合わせてコースをデザインできる
──エコライドは高低差を利用して移動するわけですが、建設可能な地形条件はどのようなものでしょう?
コースが環状になっていて、元の場所に戻ってくる必要はありますね。元の地形を利用して、下りが続くコースにすることもあり得るでしょう。その場合は、コースのどこかで車両を引き上げることになります。平坦な場所なら、高度を10m引き上げて、水平距離で300〜500m走らせ、また10m引き上げるという繰り返しです。
エコライドはレールも軽くて済みますし、道路などの障害がある場合は立体交差もできます。さらに、半径10m程度のきついカーブでも曲がれるなど、自由度が非常に高く、地形に合わせてコースをデザインできるのが大きな強みです。
車両もレールもコンパクトなので、ある程度の道路幅があれば建設できます。あるいは中央分離帯に柱を立ててレールを通すこともできるでしょう。ビルとビルの間を走らせることもできると思います。
──複線にすることもできるのですか?
エコライドは、一方向に循環するループの単線を基本としています。ただ、細いループ上にすることで、2地点間を往復する複線にすることは可能です。
ジェットコースターの技術を随所に応用
──車両側にはブレーキもないんですね。どういう風に減速して止まるのでしょう?
駅近くのレールには永久磁石が設置してあり、この反発力を利用して減速します。さらに、車両から出ているフィンを挟み込むブレーキがレール側にあり、これで車両を完全に停止させます。後者のブレーキは、ジェットコースターで使われているものと同じです。
永久磁石を使ったブレーキ装置が3つレールに並ぶ。車両とこのブレーキ装置は非接触だ。
──永久磁石のブレーキは一般的なんですか?
工場内では一部利用されていますが、交通機関では使われていません。電車の車両は、永久磁石で減速するには重すぎるのです。ところが、エコライドは車両が軽いため、永久磁石で十分に減速できますし、このおかげで減速時の音も小さくなります。磁石のブレーキは非接触なので摩耗もなく、10年は交換せずに使えるでしょう。
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山路達也の「エコ技術研究者に訊く」
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