ジェットコースターが街中を走る?! 省エネ交通機関「エコライド」(1)
2009年1月30日
(これまでの 山路達也の「エコ技術者に訊く」はこちら)
エコライドの実験用車両。現在は木製の簡易的なものを使用している。
持ち上げて転がす、シンプルな移動原理
──「エコライド」は、ジェットコースターの原理を応用した交通機関だそうですね。
一般的な電車の場合、台車の中にモーターやブレーキが入っています。それらを全部取り払うことができれば、車両は格段に軽くなりますね。この軽くなった車両を、ジェットコースターと同じように高いところまで引っ張り上げ、位置エネルギーを利用して坂を転がす、というのが基本原理です。
動力機構を車両側に持ちませんから、レールなどの構造も軽くて済み、インフラ全体もコンパクト、低コストにできます。また、ジェットコースターは、脱線防止技術が発達しており、安全面の高さもメリットです。
ジェットコースターと同様、上下横の三方向からレールを挟み込む構造になっているため、脱輪の可能性が極めて低くなっている。
──どれくらいの輸送力があるのですか? また、速度はどれくらい出るのでしょう?
1両12名程度です。5〜7両くらい車両を連結することで、1時間当たり2000〜2500人の輸送力を持たせることができます。速度は、平均時速が20km/hくらい、最高時速は40〜50km/hです。バスとだいたい同じと思っていただければよいでしょう。
──想定する用途は?
基幹駅からショッピングセンターや住宅地への輸送をターゲットとして開発しています。エコライドは、基本的に近距離少量輸送のための交通機関で、路線の全長はだいたい5〜6kmくらいでしょう。実は、近距離用交通機関は、適当なものがないのが現状です。動く歩道で行くにはやや遠い1〜2km程度の移動に、モノレールや新交通システムは重装備すぎます。
──既存の交通機関と比較して、建設費やランニングコストはどれくらいになりそうですか?
1km当たりの建設費はミニ地下鉄で220億円、モノレールで120億円、新交通システムでも100億円弱はかかります。これに対して、エコライドは20億円で済みます。1人を1km輸送するのに必要なエネルギー(単位はkJ/人km)も、自動車が2577、バスが755、鉄道でも467。エコライドなら226です。
──乗務員は乗らないのですか?
ロープウェーと同じように、地上側で制御することになりますから、乗務員も不要です。
千葉実験所内に敷設された実験線を走るエコライド。
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山路達也の「エコ技術研究者に訊く」
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