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山路達也の「エコ技術研究者に訊く」

地球と我々の未来の行方を左右するかもしれない、環境系技術研究の現場を訪ねる。

「都市鉱山」に至る道が見えてきた(3)

2008年12月29日

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リサイクルのあり方が変わる

(左)プラスチックやアルミなどは板状に残るため、選別も容易だ。
(右)この破砕粉には、金やレアメタルが天然鉱石よりもはるかに高い濃度で含まれている。

──こういう単純な手法でリサイクルコストを大幅に下げられるというのは、発想の転換ですね。

最近、日本の技術はどうも積み上げ型に振れすぎているように感じます。積み上げることも重要なのですが、もっと上から物事を見て、どこに技術を投入するべきか考えることも必要ではないでしょうか。

──今回のような技術が実用化されると、リサイクルはどのように変化するのでしょう?

リサイクル処理設備がもっと消費者の身近に来るでしょうね。こういう処理装置が役所の裏に置かれているような状況が理想的です。ボールミルの場合なら、動作に水も不要ですし、防音対策も容易。必要なのは粉じん対策だけですから、周囲にも迷惑がかかりません。処理の結果できた破砕粉は水で湿らせれば、簡単に輸送できます。

回収業者が装置のユーザーになることもありえます。消費者から使用済みの携帯電話などを買い取って、街にある処理装置に持ち込んで金属資源を取り出し、それを精錬業者に売るわけです。

──メーカーが行うリサイクルに影響はありますか?

メーカーはそのまま再利用できる部品を取り出したら、残りをこちらのプロセスに回せばよいでしょう。サプライチェーンと同様、リサイクルチェーンをメーカーが責任を持って回すというのが最終的な形になるのではないかと考えています。

──都市鉱山によるリサイクルチェーンが実現するために、重要なことは何でしょう?

やはりメーカー、業界が責任を持ってリサイクルチェーンを作ることでしょう。

家電リサイクルが動き出した時、海外からはさんざんバカにされたものです。消費者からお金を取って廃棄物処理をするなんて、不法投棄の山になるに違いないと。しかし、実際には、大多数の日本人はちゃんとルールを守っています。メーカーがきちんとシステムを作りさえすれば、市民もそれに応えるのが日本人だと思います。

──海外での都市鉱山利用の状況はどうでしょう?

アメリカやドイツなどで、都市鉱山にどれくらいの資源が含まれているか、ようやく研究が始まったところです。この分野において、日本はトップランナーであることを自覚して行動しないといけません。

研究者プロフィール

原田幸明(はらだこうめい)

1951年長崎県壱岐生れ、山本良一氏らとともにエコマテリアルを提唱。材料のリサイクル設計、LCAの日本への導入などを進めた。現(独)物質・材料研究機構元素戦略クラスター長、エコマテリアルフォーラム幹事長、日本LCA学会副会長、エコデザイン推進機構理事などを務める。

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プロフィール

1970年生まれ。雑誌編集者を経て、フリーの編集者・ライターとして独立。ネットカルチャー・IT・環境系解説記事などで活動中。『進化するケータイの科学』、『弾言』(小飼弾氏との共著、アスペクト)、『マグネシウム文明論』(矢部孝教授との共著、PHP新書)など。ブログは、こちら

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