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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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3D映画特集(4):2010年は「3Dホームシアター元年」?

2009年8月11日

(3)から続く

パナソニックの3Dホームシアターシステム

『CEATEC JAPAN 2008』や『CES 2009』などでデモが公開されたパナソニックの「3D フルHD プラズマ・シアターシステム」。プラズマディスプレーと、ブルーレイ(ディスク+プレーヤー)、アクティブシャッター方式のメガネを組み合わせたシステムで、フジサンケイ ビジネスアイの記事によると、同社は今年6月、2010年にこれらの製品を世界で発売することを表明したという(同記事ではさらに、「ソニーも対抗する形で同時期に商品投入する」との見方が大勢だ、としている)。

上の動画はCES 2009でのデモの模様で、ジェイムズ・キャメロン監督がビデオで推奨コメントを寄せている。キャメロン監督といえば今年12月公開の3D映画『アバター』だが、これと同じ3D技術で製作が進められているゲームタイトル『James Cameron's Avatar: The Game』の「極秘デモ」が、6月の『E3 2009』でパナソニックの103型3Dプラズマディスプレイを利用して行なわれた(AV Watchの記事)。

とすると、映画『アバター』とパナの3Dホームシアターシステムも相性は悪くないはずで、新3D方式のBDに収録された『アバター』がこのシステムを牽引する目玉タイトルとして同時期にリリースされるかもしれない。通常は映画公開から半年後くらいにBD/DVD化されるので、早ければ夏のボーナス期あたりだろうか。システムの出荷がその時期に間に合わなければ、オーディオビジュアル関連の大型新製品で一般的なスケジュールの通り夏か秋に正式発表し、秋から年末商戦期にかけて発売というタイミングになりそうだ。

海外での動き

米Sonic Solutions社は7月21日、米国内の映画配信サービス『CinemaNow』を使い、3D映画をダウンロード配信する技術を発表した。この3D映画は、すでに市販されている3D対応のパソコン用ディスプレーやテレビで視聴できる。プレスリリースには開始時期への言及はないが、TG Dailyの記事によると、同社は今年第4四半期のサービス開始を目標にしているという。

一方、英国の有料衛星放送局British Sky Broadcasting(BSkyB)社は7月30日、同国で初となる3D専門チャンネルを2010年に開設すると発表した。番組には映画、エンタテインメント、スポーツが予定されている。視聴に際し、セットトップボックスは現行の「Sky+HD」契約者用のものが対応するが、テレビは来年発売予定の3D対応新製品が必要になる。

現時点で手に入る3Dホームシアター環境

今年から上映本数が増えてきた新世代のデジタル3D映画に近い画質の家庭向け3D映画コンテンツを視聴するのは、BDにしろ放送にしろ来年まで待つことになりそうだが、視聴のためのハードはすでにいくつか市販されている。日本ではヒュンダイが3D放送対応液晶テレビを2モデル販売しており、ビックカメラのサイトでは32V型が16万9800円、フルHDの46V型が34万8000円となっている。

ナモト貿易が輸入販売する『DepthQ』HD 3Dプロジェクターは、フレームレート120Hzで解像度1280×720ピクセルの3D映像を投射できる製品。同社に価格を問い合わせたところ、本体と専用の3Dメガネが2個セットで100万円とのこと。どちらかといえば映像制作やゲーム開発、研究などの用途がメインと思われるが、家庭でもパソコンと接続して3D対応ゲームなどを楽しむことが可能だ。

また、画質や色再現性で不利な旧世代3D技術のアナグリフ方式でもとにかく家庭で観たければ、BDやDVDですでに数タイトルがリリースされている。たとえばアマゾンで「3D blu-ray」を検索すると、『ブラッディ・バレンタイン』『センター・オブ・ジ・アース』『ポーラー・エクスプレス』など7タイトルが購入可能。これらのパッケージには赤青メガネが付属し、ハード側は既存のものでそのまま視聴できる。

(5)に続く

[関連エントリ]
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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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