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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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不気味の谷のニューフェイス:人間の表情を模倣するヒューマノイド、動画

2008年11月13日

「不気味の谷」現象については、当ブログでもこれまでに『「不気味の谷」を越えた? Image Metrics社のフォトリアルなCGアニメ』と、『PopSciの「不気味の谷ツアー」動画:日本の技術も多数登場』で2度取り上げましたが、またまた“新顔”の登場です。今回はほんとに顔だけ。

『ダークナイト』のジョーカーじゃなくても、「Why so serious?」って言いたくなります。あと、『トータル・リコール』でシュワちゃんが大女に変装したときのかぶり物にちょっと似てるかも。

開発したのは、ウェスト・オブ・イングランド大学(UWE)とブリストル大学が共同で運営するブリストル・ロボット工学研究所(BRL)。『Jules』という名前で、「人の表情を見てリアルタイムで模倣できる初のヒューマノイド」だとか。

Daily Mail』によると、このJules君は、内部に埋め込まれた34個の小型モーターで、柔軟なゴムの肌を動かします。ビデオカメラで撮影した人の表情をソフトウェアで解析して、毎秒25フレームというきめ細かなペースでコマンドに変換できるのだそうです。

幸せ、悲しみ、心配など、10種類の表情がプログラムされているそうですが、動画を見た限り、眉間にしわを寄せるなど、深刻な表情が割と得意なようです。Daily Mailの記事にはお手本の人物の映像と並んだ写真もありますが、顔をしかめたり、大口を開けたりといった極端な表情はやや苦手の模様。

とはいえ、リアルタイムで相手の表情を模倣できる能力というのは、未来のパートナー・ロボットとしてかなり有効なはず。人間同士でも、相手の表情や身ぶりを真似するのが円滑なコミュニケーションに役立つとよく言われますからね。

もちろん、ロボットが相手の話の内容を理解して、それにふさわしい表情を作れるようになれば素晴らしいけれど、その前の暫定的な目標として、とりあえず表情を真似するロボットを作るというのは、よく考えられた現実的な戦略だと思います。

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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