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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

アートと技術、オーディオビジュアル、メディアをめぐる話題をピックアップ

PopSciの「不気味の谷ツアー」動画:日本の技術も多数登場

2008年9月30日

Uncanny_Valley.jpg

『Popular Science』誌のオンライン版、『PopSci.com』が制作したビデオ『The Uncanny Valley』(不気味の谷)。

ビデオの冒頭で、人間に近い外見のアンドロイドが不気味に感じられ、人間に似ていないロボットに親しみを覚えるという例を示してから、ロボット工学者の森政弘氏が提唱した不気味の谷現象を紹介。そのあとで、ロボットやアンドロイド、映画のキャラクターなどの実例を見せながら、「不気味の谷のグラフ」上でどの辺の位置にいるかを赤い矢印で示します。つまり、不気味の谷を下り、谷底を過ぎてまた登るコースを案内するという、ガイドツアー仕立ての動画。

日本製のアンドロイド(音声も日本語)や有名な映画からのカットも多く、解説は短い英文で表示されるので、英語の聞き取りが苦手な人でも問題なく楽しめる(あるいは、気味悪がれる?)と思います。ではお待たせしました、以下のリンク先でご覧ください。


Welcome to the Valley | Popular Science


参考サイトなど

・冒頭とラストのアンドロイドはいずれも株式会社ココロ製。冒頭のは歯科実習用ロボット『シムロイド』、虫よけスプレー「プレシャワー」のCMに使われたのは『アクトロイド DER2』。

・ページトップのキャプチャ画像(赤い矢印が「谷底」)のアンドロイドは、カナダのLe Trung氏が開発中の『Project Aiko』。ボディには日本製のシリコンドール(「ラブドール」とも呼ばれるアダルトグッズ)を利用。

・Project Aikoと同じく「谷底」の例として紹介されたのは、米Hanson Robotics社の『Eva』(YouTube動画その1その2)。

・映画からのカットは、登場順に、『WALL-E/ウォーリー』『スター・ウォーズ』『2001年宇宙の旅』『ポーラー・エクスプレス』『ベオウルフ/呪われし勇者』。また、PopSci.comの記事本文の"these guys"(こいつら)からリンクされた画像は、『A.I.』のロボット(演じたのはハーレイ・ジョエル・オスメントとジュード・ロウ)。

・PopSci.comの記事では、森氏の説のほか、フロイトが「不気味さ」について書いた文章にも言及。このテキストについては重元寛人氏のこのページが参考になる。

・Wikipedia英語版の「Uncanny valley」の項に掲載されているグラフには、工業ロボットやぬいぐるみの動物、死体やゾンビなどの位置が示されている。PopSci.comの動画の例と比較すると面白い。ただWikipediaの図でちょっと変なのは、カーブが谷を越えたところに「文楽人形」が置かれていること。だってこれですよ。どう見ても不気味の谷の手前だと思うけど。

・当ブログでは、『「不気味の谷」を越えた? Image Metrics社のフォトリアルなCGアニメ』というエントリーで、同社の「Emily」を紹介。EmilyはPopSci.comの動画にも谷を越えたあたりで出てきます。

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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