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白田秀彰の「網言録」

情報法のエキスパートが、日常生活から国家論まで「そもそも論」を展開し、これからどう生き抜くべきかを語る。

最終回 暇申

2007年10月 3日

突然だが、「網言録」が打ち切られることになった。まだまだ諸事諸物について、語っていくつもりだったので、残念ではある。この連載を楽しみにしていたような奇特な読者がいたのだとしたら、お詫び申し上げたい。とはいえこの記事が、ほかの記事やWired VISION全体の雰囲気からすると かなり異質であったことは、私も十分承知していたから、江坂編集長からの遠慮がち かつ丁寧な打ち切りの打診があったときも、特段驚いたりはしなかった。

連載の第一回では、「私が書きたいことは、もう法律とかコンピュータとかネットとかの話ではないんだ」と宣言していたし、第二回では早期打ち切りを予感させる消極的な目標を示していたし、早くも第六回では「なんだかよくわからない」この連載の説明と結論のネタばらしをする羽目になっていた。最近の私の関心が、「情報技術が切り開く新世界に私たちがどう対処するのか」(リアル→サイバー)から、「新世界に慣れ、独自の思考法を身につけた私たちが、現実をどう変えるのか」(リアル→サイバー→リアル)という一回ねじれの方向にあったことから、もっとも私たちの身近にあって意識されていない事項、「先端」に関心をもつ Wired の読者がもっとも関心を持たないだろうと思われる事柄、さらには Wired の読者がもっとも耳痛く思うだろうと思われる事柄から、書いてみようと思っていたわけだが、やはり目標と取り上げた事柄の間が「遠すぎて意図がわからなすぎた」のだろう。

しかし、私は「網言録」での試みを後悔していない。今後も自分のWebサイトで「網言録」でとりあげるつもりだった事柄について、折をみて書いていくつもりだ。ただ、編集部の皆さんには ご期待に沿えなかったことを申し訳ないと思う。

よく知られるように「週間少年ジャンプ」では、実験的過ぎたため、あるいは実力が伴わなかったため、10週程度で打ち切られる作品が数多ある。そのときには必ず編集部から素晴らしい「アオリ」が与えられる。せめてもの願いとして、江坂編集長にアオリを書いていただいた。↓


「網言録」をご愛読ありがとうございました!

白田先生の次回作にご期待ください! 近日中開始、という噂も!?
by 江坂

それでは、みなさん。また機会がありましたらお目にかかりましょう。

(※編集部注:11月7日、白田さんの新連載 白田秀彰の「現実デバッグ」がスタートしました!)

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プロフィール

1968年生まれ。法政大学社会学部准教授。専門は情報法、知的財産権法。著書に『コピーライトの史的展開』、Hotwired Japan連載をまとめた『インターネットの法と慣習』がある。HPは、こちら

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