iPod nanoとOptoma PK101で超小型ビデオプレゼンシステムを作る
2010年2月 8日
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ビデオコアになるiPod nano
ほぼ1年前のこのコーナーで「ポケットプロジェクターOptoma PK101を自分仕様で持ち歩く」という記事を掲載した。
その後も、PK101は、同窓会や懇親会など機会があるごとに活躍し、見た人はたいていそのサイズと画質に驚いている。
約1年前に紹介したポケットプロジェクターOptoma PK101+マンフロットModopocket(折りたたみスタンド)は、今も十分実用になる組み合わせだ。プロジェクター本体の実売価格は4万円を切っている。
個人的には、上位機種で4GBのメモリを内蔵してRGB入力にも対応したPK102や、ニコンのプロジェクター内蔵デジタルカメラCOOLPIX S1000pjなどの後発デバイスも気になる存在だったが、とりあえず手元にあるPK101をもっと活用するにはどうしたら良いかを考え続けていた。
そんな中、2009年の秋にモデルチェンジして第5世代モデルとなったiPod nanoは、SDクオリティながらビデオ撮影も可能となり、それ自体が非常に小型のデバイスなので、単体で利用する他に、撮像・再生可能なビデオコアとして応用したら面白いのではないかと思うようになった。
ここしばらく、iPhoneのカメラアプリ関連の単行本を執筆していたのでなかなか時間がとれなかったのだが、ようやく脱稿して多少は余裕ができたのを機に、かねてからの構想を実行に移すことにした。それは、これまでiPhoneとのコンビネーションが多かったPK101をiPod nanoと組み合わせて、より小型なビデオプレゼンシステムを作るということである。
かさばっていたアップル純正のiPod/iPhone用コンポジットビデオケーブルを、オプトマ社推奨の専用AVアダプターDWA010で置き換えられるようになったのも、このアイデアを後押しした。
そして、一時は、DWA010のケーブルの余った部分をコード巻き取りパーツの「*cordctrl」で処理しつつ、右手にiPod nano、左手にPK101というスタイルで利用していたが、すぐに、市販のケースをうまく使って片手でハンドリングできるような形に持っていきたいと考えるようになったのだった。
iPhoneとの接続に使っていた純正コンポジットケーブル(左)を、オプトマ社推奨の専用AVアダプターDWA010(右。5,101円)に置き換えると、一気に携帯性が良くなった。ケーブルの途中の円筒形のものは、おそろしく良くできたコード巻き取りパーツの「*cordctrl」(1,000円)。
色々と探した結果、iPod classic用のシリコーンジャケットBone Classic 101+と、レイアウトブランドのiPod nano用横開きレザージャケットを組み合わせるのが最善という結論に到達。
特にClassic 101+は、カラーリングが今ひとつではあったものの、背面のケーブル捌きの機能が必要だったので、これを理由に採用した。
今回のプロジェクト用にPK101のプロテクターとして購入したBone Classic 101+ジャケット(1,990円)。本来は160GBのiPod Classic用なので、PK101にジャストフィットするわけではないが、いずれにしてもPK101には純正のシリコーンジャケットが用意されているわけではないため、多少のズレは気にしないことにした。
やや無骨ながらもClassic 101+ケースを選んだのは、裏側のイヤフォンケーブルを留めるためのディテールが、プロジェクター用のケーブル捌きにうまく利用できそうだったからである。
つまり、DWA010のケーブルを、このように収まりよくまとめることができることが重要だったのだ。また、左側に見える丸い穴も、後で大切な役割を果たすことになる。
iPod nano用には、レイアウトブランドのレザージャケット(2,480円)を購入した。これは、今回の工作には、横開き式であることが必要だったためである。ビスケット型のケーブル巻き取りパーツとストラップは不要だったが、セット販売のみだったので目をつぶることにした。
カメラ付きの第5世代iPod nano用のケースとしてレンズとマイクの位置に穴が設けられている点や、ホックの位置も、今回求められる要素としてまさにピッタリと言えた。
もちろん、Classic 101+はPK101のために設計されているわけではなく、そのまま被せてもスイッチ類にアクセスできず、レンズも一部ケラレる状態になる。そこで、必要な切りかきを設けることにした。こういう場合に、シリコーン素材はハサミで簡単に切ることができ、切り口の始末もせずに済むので加工が楽になるメリットがある。
Classic 101+をPK101に被せたところ。スイッチ類の操作が普通に行え、映像のケラレがなく投影できるように、必要な切りかきを新たに設けている。
この状態で、DWA010を再び収めてみると、このようになった。ケーブルの途中のスイッチのようなものは、音声のボリュームコントロールである。
Classic 101+とレザージャケットの合体は、前者の背面のケーブルポケットのような部分に空いている穴を利用し、そこに後者のホックを留めることで実現している。これならば取り外しも容易で、融通が利くためだ。
さらに、iPod nano用のケースのホックの1つを使い、Classic 101+側の穴をうまく利用して、両者を合体させてみる。
すると、このような親子亀のような状態で、コンパクトにまとめて持ち運べるようになった。
iPad nanoから映像・音声信号を引き出すためのドックアダプタの部分は、シリコーンジャケットの裏側の一部をポケット代わりにして収納することができる。
このようにして、投影時には机上などに置くことはもちろん、立ったまま片手で操作してプロジェクションを行えるシステムができあがった。
また、iPod nanoの動画撮影機能を使う場合にも、PK101をグリップとして用いることができる副次的なメリットも生まれた。
確かに、4GBのメモリを内蔵してスタンドアローンで画像投影が行えるPK102よりも嵩張るが、iPod nanoならば動画撮影も可能なことや、画像選択が画面上で効率的にできること、そして動画の変換とシンクロがiTunesで安定して行える(PK102では、付属ソフトの動画変換がやや不安定)点で、トータルな機能性では今回の合体メカのほうが優れている。
また、COOLPIX S1000pjは外部入力に対応していないため、PK101のほうが汎用的に使える利点もある。
惜しむらくは、iPod nanoに静止画撮影機能がないことだが、とりあえず機動性の高いこの組み合わせには満足している。
利用時にはこのようなスタイルとなり、Modopocketを使って机上などに置いて使うことも、また、片手に持って操作することも容易に行える。
動画撮影時には、こんな風にiPod nanoを引き起こすと、PK101をグリップとして握ることで安定した撮影が可能となる。
手持ちの状態でプロジェクター投影を行っているところ。4GBメモリを内蔵したPK102ではなく、iPod nanoを映像ソースとしてPK101との組み合わせで利用するメリットは、再生だけでなく撮影もできること、および投影画面を用いずに映像データの選択が簡単に行える点にある。
大谷和利の「General Gadgets」
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