iPad 2の撮影方向を変える
2011年5月17日
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新たなiPadアプリのためのアクセサリ試作
実は現在、青山学院大学の苅宿俊文教授の研究室と、ソフトハウスのドリームガーデンソフトウェアの中野洋一さんと共に、iOSデバイス向けの教育アプリを開発している。
苅宿教授は、子供たちが身の回りの事象を自ら写真や映像として記録し、それを編集・再構成することで、自分を取り巻く環境を多元的に捉えたり、起こった出来事を咀嚼して他者に伝えることができるようになると考えておられ、それをサポートするアプリ群を独自に揃えようとされている。
今までに作ったのは、動画の逆転再生を行うものや、コマ撮り撮影の結果をアニメーション表示するもの、左右対称のミラーイメージが撮影できるもの、多重露光の写真が撮影可能なものなど。機能面では既存アプリでも実現されているが、苅宿教授の考えに基づき、すべてのアプリが単機能で、写真も動画も縦横の区別のない正方形のフォーマットで統一されている。そして、iPhoneやiPod touchで撮影されたそれらのデータをiPadに無線で転送し、3×3マスのグリッド内に配置することで、作者である子供がストーリーを語れるような環境ができあがった。
次の段階として計画中なのが、ビデオ撮影をしながらメモが取れるようなiPad 2用アプリである。この原型としては、ボイスレコーディングを行いつつメモが取れるAudioNoteのような製品がある。
これのビデオ版のようなアプリを開発したいのだが、音の場合にはマイクが音源の方向を向いていなくとも収録が可能であるのに対し、映像となるとレンズの方向が問題になる。つまり、iPad 2を立てた状態で手に持って利用するならば、アウトカメラを被写体に向ければ済むが、メモをとるために水平もしくはややティルトした状態で机の上などで利用する場合には、レンズがあらぬ方向を向いてしまうというわけだ。
そこでアプリ開発に先立ち、iPad 2を水平に置いたまま正面の被写体が撮影できるようなアクセサリを作ってみることにした。材料は100円ショップで購入したミラーと、それをiPad 2に安定的に固定し、しかも簡単に取り外せるようにするための粘着シートだ。
メモを取る際にキーボードを使うことを考えると、実際にはiPad 2を横向きで使うほうがキーのエリアが広がって打ちやすい。しかし、それではインカメラの位置がiPad 2の左右どちらかの辺の中央になり、光軸を変える仕掛けも複雑にならざるを得ない。そこで今回は縦方向での利用を念頭に置き、できるだけ単純な仕組みで実現することを優先している。
メイクアップミラーは、カバー部がスタンドになるが、本来の使い方をすると鏡面は斜め上を向いてしまう。そこでヒンジのところに接着剤を塗って乾かすことで抵抗を増し、斜め下を向いた状態で留めたり、角度の微調整が効くようにした。
工作自体は、カバー部に穴を空け、レンズがそこから覗くようにしてミラー全体を固定できるようにするというもの。そのため、位置決めや加工がしやすいように半透明の樹脂製のカバーが付いた製品を選択している。
実際に水平状態のipad 2にミラーを付けてテストしてみると、うまい具合に上下左右が反転し、被写体そのままのイメージを撮影することができた。インカメラの解像度はアウトカメラに比べると低く、また、ミラーのカバー部分が撮影範囲の下のほうに写り込んでいるが、映像メモ的な用途にはこれでも十分と思える。加えて、携帯時の鏡面の保護にさほど神経質にならなくても良ければ、レアタックの貼り付け部分だけを残してカバーをカットすることで、写り込みのない撮影も可能だ。
今後は、このプロトタイプを元に改良を加え、アプリと連携しての利用が快適に行えるようにしていく予定である。
大谷和利の「General Gadgets」
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