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大谷和利の「General Gadgets」

古今東西、デジ/アナを問わず、優れたコンセプトを持つ製品を独自の視点で紹介する。

疑似二眼レフカメラ? IPHLEX MODEL IV

2011年2月 9日

(これまでの 大谷和利の「General Gadgets」はこちら

帯写真

 

平面的なカバーをリアルに立体化

今やiPhone用のプロテクトカバーの類は、素材、デザイン共に、実に様々な製品が存在する。かく言う筆者も、バード電子さんからの依頼で、エレコム製シェルカバーを利用したiPhone 4用ケースのグラフィックスをデザインした。

以前にこの連載でも自作のカメラ風フェイクカバーをとりあげたことがあったが、最近では一般の携帯電話でも背面が一見コンパクトデジカメ風になっているものが増えてきており、同じ路線では面白くない。そこで今回は、iPhoneで縦撮りする機会も多いことから、二眼レフカメラをモチーフに、イラスト風のデザインでまとめてみた。

二眼レフカメラは、ROLLEIFLEXやRICHOFLEXのように「ブランド名+FLEX」という製品名を与えられるのが一般的だ。そこで、iPhoneベースのこのカバーでは、架空のカメラの名前を(FをPHに変えた)IPHLEXとし、iPhone 4用なのでMODEL IVの文字も加えてみた。これは、B-SHOPにて、2980円で販売されている。今のところ、購入者の4割が女性である。

完成品を見ると、なかなか雰囲気が出ていて良い仕上がりだったので、かねてから考えていた計画を実行に移すことに決めた。それは、実際にiPhone本体の後ろ(画面側)にミラーボックスを付加して、実際の二眼レフカメラのように、上から覗いて撮影が行えるようにすることだ。

iPhone 4用のプロテクトカバー、IPHLEX MODEL IV

筆者のデザインでバード電子さんから発売されているiPhone 4用のプロテクトカバー、IPHLEX MODEL IV。今回は、これをベースに二眼レフ度(?)を高めてみることにした。

欲を言えば硬質な素材で作りたいところだが、工作の容易さも考えて、ボディにはクラフト用の段ボールと皮革風の化粧フィルムを用い、内部の鏡のみアクリルミラーを利用している。

用意した物

用意したのは、構造体となるクラフト用段ボール(約90円)と、建築の内装などに使われる化粧フィルムのベルビアン(約370円)、そしてアクリルミラー(約210円)だ。

黒い皮革のように見えるものを採用

ベルビアンには様々な質感のものがあるが、ここではカメラらしく、黒い皮革のように見えるものを採用した。

実際の製作においては設計図を引くことなく、現物合わせで箱を作り上げた。

クラフト用段ボールは、波状の加工が罫線のような役割を果たして寸法の目安となり、折り曲げる際のガイドとしても機能するため、そんなやり方でもそれなりのものを作ることができる。

ミラーボックス部を仕上げた

クラフト用段ボールを現物合わせで切り抜いて箱状の構造を作り、その上にベルビアンを貼って、内部にアクリルミラーを配することでミラーボックス部を仕上げた。

また、カバーとミラーボックスの合体方法もいくつかのアイデアを考えてみたものの、最終的にはシンプルに粘着シート付きのマジックテープを利用している。

実際に合体して両手で支えて構えてみると、遠目にはかなり本物のように見える。上から覗いた際のファインダー画面の視認性の高さも申し分ない。

疑似二眼レフカメラが完成

これに、カバーを装着したiPhoneを合体させると、疑似二眼レフカメラが完成する。カバーとミラーボックスは、マジックテープを利用して脱着可能とした。

実際に二眼レフカメラで撮影しているかのよう

このように構えると、何も知らなければ実際に二眼レフカメラで撮影しているかのように見える。

上下左右反転した状態で確認できる

上から覗くと、アクリルミラーに反射したiPhoneの画面が、上下左右反転した状態で確認できる。

実際に撮影されるイメージも二眼レフカメラのように正方形にしたかったので、タンデムシステムズのFinderCamと組み合わせた。これは、主要なフィルムやカメラのフォーマットに合わせたフレームを表示させることができ、マニア心を満たしてくれるアプリだ。

FinderCamというアプリ

タンデムシステムズのFinderCamというアプリを利用することで、実際の二眼レフのようなスクエアフレームの範囲内だけが撮影されるようになる。

しかし、シャッターレリーズに関しては、ハード的に付加することができないため、側面から親指を差し入れて画面上のシャッターボタンをタップするようにした。

上下左右が反転した状態で構図を決めるのは、実際の二眼レフカメラと同様に難しいものの、それも愉しく思えてくるから不思議なものである。

親指でタップするための穴を側面に設けている

さすがにシャッター機構を外部に設けることはできないので、画面下部中央にあるシャッターボタンを親指でタップするための穴を側面に設けている。

ウェストレベルファインダーで撮影した画像

実際にIPHLEX MODEL IVを上から覗き込み、ウェストレベルファインダーで撮影した画像。上下左右が反転したイメージを見ながら構図を決めるのはなかなか難しいが、それもまた一興だ。

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プロフィール

テクノロジーライター、原宿 AssistOnアドバイザー、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真分野などの執筆活動のほか、商品企画のコンサルティングを行う。近著に「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、「43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意」、「iPadがつくる未来」(以上、アスキー新書)。「Macintosh名機図鑑」(えい出版社)、「iPhoneカメラライフ」(BNN新社)、「iPhoneカメラ200%活用術」(えい出版社ムック)、「iPhone×Movieスタイル」(寄稿:技術評論社)。

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