2台のiPhoneでiHonを作ってみる
2010年1月 8日
(これまでの 大谷和利の「General Gadgets」はこちら)
残念ながら今年の新年号で休刊となったビジネスアスキーの新春企画で、噂されているアップル社のタブレットマシンの予想記事を書いた。
ある意味でお祭り的な企画のため、想像の羽を伸ばし、1台ではタブレットだが、2台をマグネット機構で合体させると見開き型のデジタルブックリーダーになったり、片側をソフトキーボードとして使ってノートPC的に利用できるというアイデアを提示してみた。
アップル社はすでに磁石を利用したラッチやMagSafeという電源コネクタを実用化するなど、マグネット技術の応用に熱心に取り組んでいる。また、(噂サイトの記事なので信憑性は定かではないが)昨年の初夏頃にタブレットのプロトタイプを見たという人物の話として、「この手があったか!」という製品に仕上がっているとの情報があった。
これら2つの事柄から類推し、半ば妄想的なマシンをヒネり出してみたのである。
そんなことがあって、改めて自分の機材を振り返ったとき、手元にiPhoneが2台あることを思い出した。元々使っていた3Gと、1年目で切り替えた3GSだ。3Gのほうは契約を解除したので、今はカメラ付きのiPod touchのような状態であるが、とりあえずアプリの検証などに利用している。
そこで、この2台を利用して、見開き型のデジタルブックビューワーを作ってみることにした。iPhoneならぬiHon(i本)だ。
まずは2台の合体だが、素人が強磁界のマグネットを使ってiPhoneに影響を与えてもいけないので、シリコーン製のプロテクトカバーを2つつなげて使うことにした。
つなげる方法も、接着やヒンジ金具の利用など色々と考えてみたが、最終的に糸で縫い合わせるのが簡単かつ確実という結論に落ち着いた。2つのカバーのエッジ部分が接するように縫い合わせれば、閉じた状態でも開いたときにも無理なく追従させることができると気づいたからである。
こうしてハードウェアは疑似的に見開き型となったものの、次はアプリをどうするかだ。わざわざこのためにアプリを開発する時間も能力も自分にはない。しかし、解決法は意外にも足元にあった。
筆者は普段、「豊平文庫」(450円。無料のお試し版もある)という青空文庫リーダーアプリを利用している。理由は色々あるが、ルビを含めて文庫本並みに美しい文字表示、本文中にレイアウトされる挿し絵、リアルタイムの部分拡大表示、大辞林アプリとの連携機能などが特に気に入った特徴だ。やや建て増し的に多機能化されてきた傾向はあるが、より使いやすくするためのバージョンアップも頻繁に行われており、機能強化がひと段落した時点でインターフェースにも手が加えられることが期待される。
そんな「豊平文庫」では、フリックでもタップでもページめくりができるのだが、設定機能でタップ位置の範囲指定をかなり自由に決めることが可能な点が、今回のアイデアを後押してくれた。
というのは、右画面では左下隅、左画面では右下隅を、次ページへのタップエリアに設定すると、その部分を親指一本で同時にタップできるため、双方のページを同時にめくれるのである。あとは、左画面に右画面よりもひとつ先のページを表示させてから操作すれば良い。
もちろん、一度のタップで1ページずつしかめくれないため、見開きごとに読んでいくためにはタップを2度ずつ行う必要が生じる。それでも、余ったiPhoneの活用法としては、なかなか面白いものができあがったのではないかと思う。
今月末と言われる純正タブレットの発表までは、この自作デジタルブックビューワーで見果てぬ夢を見ることにしよう。
大谷和利の「General Gadgets」
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