北欧版、Bluetooth血圧計とケータイで健康管理
2007年11月20日
(これまでの 木暮祐一の「ケータイ開国論」はこちら)
先週、東京ビックサイトにて医療・福祉施設のための専門展示会「HOSPEX JAPAN 2007」が開催され見学してきた。医療機器、介護・福祉設備機器、システム等を中心とした展示なのだが、じつは今年はフィンランドの医療、福祉に関する特別展示コーナーが設けられるということで開催前から興味を抱いていた。
フィンランド等の北欧諸国は社会福祉制度が充実していることで有名だ。また、フィンランドといえばNOKIA、スウェーデンといえばエリクソンの本拠地である。ケータイが早い時期から普及を遂げていた国々であるだけに、もしやモバイル等無線通信を使った医療・福祉サービスなども充実しているのではないかと関心を持っていた。
この「フィンランドコーナー」なる特別展示ブースは期待していたほど大きいものでもなく、テーマもやや散漫としたものではあったが、やはりありました…!モバイルを活用したサービスが。
ケータイは身近な情報通信端末であるので、この端末内に健康を管理するための情報を集約させようというサービスである。具体的には、Bluetoothで計測データを飛ばせる血圧計と、NOKIA端末向けの血圧管理アプリケーションを提供し、ユーザーのケータイ端末(NOKIA)で自身の血圧測定値を管理するというもの。蓄積した血圧データは、必要に応じて健康管理を請け負う企業にアップロードされ、指導を受けることもできる。まあ、発想は目新しいものではないが、実際にこういうシステムが北欧でも徐々に広まり出しているらしいのである。
一見、普通の血圧計なのだが、じつはBluetooth通信機能を内蔵。測定したデータをBluetooth経由で送出することができる。
専用のアプリケーションをインストールしたNOKIA E61。これは保存された測定データを読みやすいようにスマートフォンタイプのモデルで展示していたが、一般的なNOKIA端末等で動作するそうだ。
展示していた企業の説明によれば、ケータイ端末側のアプリケーションは、NOKIA等で採用されているSymbian OS向けのものと、Windows Mobile向けの2種類を用意しているそうで、実際これでかなりのユーザーの端末上で動作させることが可能だそうだ。日本ではキャリアごとにアプリケーションが異なる上、機種依存も大きく、こういったアプリケーションの開発は困難を極める。
また、このシステムではBluetooth内蔵血圧計でケータイにデータを飛ばす。世界でこの数年広く市販されているケータイのほとんどはBluetooth対応なので、多くのユーザーはこのBluetooth血圧計を購入し、取扱説明書にしたがって自分自身のケータイ端末にアプリケーションをインストールするだけで血圧管理サービスを受けることができる。なにしろ、とても簡単なのである。
ちなみに日本でBluetooth対応のモデルはとても少ない。日本のケータイ端末に搭載されるチップ自体には、最初からBluetooth機能にも対応しているのだが、徹底的な端末製造コスト削減のために、この機能をあえて外していたりするのである。またケータイが外部機器と通信すること自体、通信キャリア主導のわが国では「あまり芳しくない」ことと捉えられるのだろう。
なお、このBluetooth内蔵血圧計を裏返してみたら「MADE IN JAPAN」の刻印が(笑) シールでメーカーロゴを隠しているが、著名なメーカー製なのだそうだ。そして欧州向けにはこのようなBluetooth内蔵タイプも出荷されているのだそうだが、日本国内向けには残念ながらBluetooth機能を備えたものは売っていないそうである、悲しい。
先月、「ケータイの医療分野への応用」というテーマで本稿を書かせていただき、NTTドコモが参考出品したヘルスケアケータイを紹介した。しかしそんな端末を出さなくとも世に出回っている家庭用医療機器、健康管理機器等がBluetoothなどで近距離通信し、個人のケータイにデータを集約できたほうがよほど便利だし、利用が広がるのではないかと思う。日本はどうしても通信キャリア主導でアイデアを形にしようとするが、そうではなくてもっとオープンに機器間のデータがやり取りできるようにしてくれたら、世の中はもっと便利になると思うのだが…。
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木暮祐一の「ケータイ開国論」
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