分解して初めて分かったMacBook Airの不思議な設計
2010年9月15日
朝起きてすぐ、MacBook Airの修理に取りかかった。キーボードを本体から外して、分解掃除すれば問題は解決するはずだ。デスクトップも含め、昔は購入するとまずバラバラにしてみたものだ。最近は購入時の仕様で使い続けられるものが多くなったし、メモリやディスクが簡単に交換出来る機種も増えたので、分解するのは久しぶりだ。
これまで使ったノートパソコンでは、キーボードを上に外せるものが多かった。しかしMacBook Airでは、本体のトップパネルにキーひとつひとつに対応する穴があり、そこからキートップが出る構造で、キーボード・アッシーは裏側からでないと外せない。
ネジなどはトップパネルには1本も無く、本体底面にしか無い。まず底面のネジを抜くしか無いようだ。ネジを抜けばトップパネルが外れる構造なら、キーボードにアクセスしやすくありがたい。しかし裏ぶたが外れ、マザーボードなどのパーツがトップパネルに固定される構造だと、内部の部品を全部外さないとキーボードまで辿り着けない。
ネジを抜いてみたところ、裏ぶたが外れた。残念。しかしそれ以上に信じられないことが沢山あった、底面のカバーが曲面で構成されているからか、ネジには3種類の長さがあった(写真)。場所によってネジの長さが違うし、締め込む向きも違う。生産性は考慮されていないようだ。
写真は裏ぶたを外したところ。手前が液晶画面を固定するヒンジがある方だ。予想以上にバッテリーが大きい。上(使用時は手前)半分以上をバッテリーが占めている。マザーボード(左下)は驚くほど小さい。ちなみに写真手前側を説明すると、左端の縦長の小さな基盤が電源コネクター基盤。接続部はフローティング構造になっており、マグセーフで外れるだけでなく、力がかかっても逃がして破壊を防ぐ構造になっている。
次がマザーボード。今時のマザーボードはこんなに小さいのか、と驚くのは僕だけだろうか。冷却ファン(真ん中右側の丸い部分)までが一体になっているが、実際の基盤はファン(もちろん外せる)の左側までしかない。ファンの右側がSSDだ。SSDの右側、最後の基盤がI/O周り。キーボードにアクセスするには全部外さねばならない。
まずバッテリーを外す(写真)。もっと筐体の形ぴったりにデザインされているかと思っていたが、思ったより四角い。前端からキーボードの半分ぐらいまでバッテリーが占めていることが分かる。ちなみにバッテリーの左側は、多分Wi-Fiなどの無線系を集めたユニットだろうと想像している。バッテリーの右側の黒いパーツはスピーカーだが、スピーカーユニットだけでなく、一種のスピーカーボックスとなっていて、音響的な設計がなされているようだ。この辺りは音に対するアップルのこだわりを感じる。
続いてマザーボードやSSDなどの主要パーツを外す。電源コネクター基盤以外を外したのが下の写真だ。黒いビニールシートに覆われているのがキーボード部分だ。やっとキーボードに辿り着いた。黒いシートの上にいくつか銀色のパーツが見えるが、バッテリーやマザーなど、キーボードの上(使用時は下)のパーツを固定するためのステーだ。
ステーを何本かのネジでキーボードに固定し、そこにパーツを上からネジ止めする仕組みになっている。思ったより複雑な仕組みで、ネジの本数も増えるし生産コストも増えそうだ。とにかく沢山ネジがある。ひとつ評価出来るのは、ネジの大きさや長さは各種あるのだが、ここまで分解するのに、1本のプラスドライバーだけで全てのネジを外すことが出来たことだ。
SSD/I/Oユニットを左側に置いているのは、マザーと本体を接続するケーブル1本をまだ外していないので、マザーを左側に置けなかったためだ。実はSSDを外すのが難しかった。ネジを全部外しても外れない。SSDを固定しているプラスチックの枠の手前側の上をケーブルが走っている(写真)のだが、よく見るとSSDの左下に、別のプラスチックパーツがはめ込まれ、その上をケーブルが通っている。このプラスチックパーツを外してみると、その下にネジが隠れていた。
さあやっとキーボードにアクセス出来る。バッテリーなどに少し醤油が付いていたが、見つけ次第拭き取っていたので写真では分からないかもしれない。あとはキーボードを掃除すれば終わりだ。黒いシートに貼られているフレキシブル基盤などを剥がし、黒いシートを外そうとする。黒いシート自体が、全周を接着剤か両面テープでトッププレートに貼付けられている。何とか剥がしてみてボーゼンとした。黒いシートの中は全面醤油だらけだったのである(写真)。
続く
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合原亮一の「電脳自然生活」
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