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藤井敏彦の「CSRの本質」

企業の社会的責任(CSR)とは何なのか。欧米と日本を比較しつつ、その本質を問う。

悪のCSR用語集

2010年10月 5日

(これまでの 藤井敏彦の「CSRの本質」はこちら

「長くやりたければ周りの人の言うことは気にしないこと」
あるインディーズ系音楽家さんのコメントです。カ細くも長〜くCSR評論を続けているワタシ、尊敬すべき周りのご意見から独立性を護るための武器、「悪のターミノロジー」を大公開。あなたも自家製「悪の用語集」をつくってオリジナル!

(注意)CSR検定合格を志す方はお目になさいませんよう。本用語集はあなたの合格の可能性を下げることはあっても決して逆はありません。

あ)愛される企業:わかった、わかりました。よーくわかったから。

い)イクエーター・プリンシプル:赤道原則。今年の夏は暑かったな〜

う)う、う・・・。う〜〜ん・・・パス。

え)エンロン:フィランソロピーの超優良企業。今はもうない。

お)オゾン層:元祖地球環境問題。気候変動さんと家元論争か?

か)ガイドライン:といえばISO26000

き)危機管理:どんなにやっても危機はくる

く)グリーン:青二才(例文)He is green.

け)結社の自由:最も政治的なCSR項目

こ)コンプライアンス:遵守という意味の一般名詞。「コンプライアンスが重要」と言っても外国人には通じない。「何の?」

さ)三方よし:日本のCSRにとどめを刺した決め文句。

し)社訓:抜きのCSR報告書を表彰すべき

す)スチュアードシップ:特定の宗教的文脈においてのみ理解可能な使用上注意用語。

せ)誠実:大切なこと。CSR用語ではない。

そ)疎外:日本の社会問題を一言で表現するとこうなる。

た)WWF:企業との融和路線でグリーンピースと絶妙にすみ分けるパンダ。

ち)地球市民:次は宇宙市民。

つ)つ、つ、「ついたて」!

て)て、て、て、「てんとう虫」!!

と)トリプルボトムライン:CSR歴史博物館に記録が残っている。

な)内部統制:CSR報告書の英語版から忘れずに削除すること

に)認証:対象の正当性を確認する行為。製品の規制との整合性や報告書の正確さを自ら認証をする「自己認証」が世界の流れだが、本邦のCSR有識者は第三者認証を推奨。

ね)念仏:英語では「マントラ」。「repeat〜like a mantra」のように使う。CSRの講演に行けば手軽にマントラのなんたるかが体感できる。

は)ハイブリッド車:がCSRなら軽自動車はすべてCSR

ひ)非正規雇用:正面から扱ったCSR報告書を見てみたい

ふ)ファンドレイジング:今後伸びるビジネス

へ)ヘクシャー・オリーンの定理:国際貿易の一般均衡モデル。CSRばかりやっていると難しいことが理解できなくなるので注意を要する。

ほ)BOP:国際収支(バランスオブペイメント)。先入観は禁物。

ま)マイはし:す、すみません、割り箸使ってもいいでしょうか・・・。

み)ミレニアム開発目標:目標には掲げる自体にも意味がある。

む)・・・・・パス2・・・

め)メタボ:マクドナルドのCSR項目

も)モッタイナイ:エコ→ロハス→モッタイナイ→エコ。コピーの興亡

や)山里:いつのまにか「里山」にとってかわられた悲運の語彙。山と里の優劣関係の逆転を反映か。

ゆ)有識者:名称というものが時に事物の本当の性質を覆い隠すためにつけられることの例。同様の例として他に「太平洋」や「喜望峰」などがある。

よ)予防原則:グローバルコンパクトの原則7にも登場。断られる可能性がほんのわずかでもあれば異性を誘ってはいけないという厳しい草食系の掟。

ら)ラギー・フレームワーク:「ビジネスと人権についての新しい国際潮流とEUの次の一手」にてよく復習ありたい

り)倫理:「さ」欄参照

れ)麗澤大学:必ずしもCSRの大学ということでもないらしい。

ろ)ロハス:環境に優しいライフスタイルも素敵だけど、上司のいないライフスタイルはもっと素晴らしいだろうなあ・・・。

わ)和階社会:中国政府の政策基本方針のひとつ。EUの「持続可能な発展戦略」を援用した発想でCSRにも通じる。しかし、国際社会との和も少し考えてほしいところ。

さて、最後に質問です。
五十音のうち抜けていた音はいくつでしょう?

答)ぬ、の、る、の3つでした。
ということで、次回は11月2日に。それまでお風邪など召しませんように。しかし、夏が終わったと思ったらもう今年も終盤ですな・・・。

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プロフィール

1964年生まれ。経済産業研究所コンサルティングフェロー。経済産業省通商機構部参事官。著書に「ヨーロッパのCSRと日本のCSR-何が違い、何を学ぶのか」、共著に「グローバルCSR調達」がある。

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