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yomoyomoの「情報共有の未来」

内外の最新動向をチェックしながら、情報共有によるコンテンツの未来を探る。

A Young Person's Guide To Weblog(新世代への啓示)

2008年2月27日

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先週、「元祖ブロガー」から新米ブロガーへのアドバイス10ヵ条という記事が WIRED VISION で公開されました。この記事は元々昨年末に「ウェブログ(Weblog)」という言葉ができて10年が経ったことを受けて書かれたものです。

ジョーン・バージャーが語る1998〜1999年あたりのブログ草創期(これは言いすぎではありません)にして、彼にとっての「ウェブログの黄金時代」に広く知られていた原則を読み、ワタシはレベッカ・ブラッド『ウェブログ・ハンドブック』を思い出して懐かしかったですが、ピンとこなかった人も多かったかもしれません。

元々ジョーン・バージャーは主に当時を回顧しているだけで、「新米ブロガーへのアドバイス10ヵ条」というタイトルがミスリードなのですが、もちろん今なお通用するアドバイスも含まれます。

ただ彼が最初に挙げている、本来のウェブログはいわゆるリンク羅列型のニュースサイトに近かったというのは、当時ウェブにおける情報収集が組織化、構造化されてなかったことの反映ではないかと当方は考えます。

レベッカ・ブラッドもバージャー同様、作者が興味をもったウェブページへのリンクこそウェブログの中心と考えており、後にもっとウェブ日記的なブログが急速に主流になったことへの戸惑いが『ウェブログ・ハンドブック』に記されています。

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そして彼女は、徐々に自分とは違うタイプのブログの要素を適宜取り入れることの面白さに気付くわけですが、結局各自がやりたいように、楽しめる形でブログを続けられればよいのです。

ただ折角ブログという形式を利用するなら、その良さを活かすべきで、そうした意味で先人の教えに耳に傾け、試行錯誤で得られたノウハウを知るのも悪くありません。

バージャーのコメントを読んで懐かしくなり、『ウェブログ・ハンドブック』を久方ぶりに読み返したわけですが、元々技術寄りの記述が少なかったことが逆に幸いし、今でもまったく古びていません。皆さん、是非買いましょう……と強弁するほどワタシは厚顔ではありません(笑)

ただ通用しなくなった記述が少なからずあるという事実を割り引いても、この本を貫く著者のパーソナルな視座は、個人でブログを始める人たちにとって励ましとなるものだと思います。ワタシ自身久方ぶりに読み直して、彼女の「語り」がとても面白く感じました。訳者がこんなことを書いてはいけないのかもしれませんが、Amazon マーケットプレイスで定価の一割程度で買えるので、そのあたりを利用されてはいかがでしょうか。

ウェブに公開させてもらっている『ウェブログ・ハンドブック』からの抜粋「ウェブログの倫理」は、この本ののエッセンスといえる、現在も完全に通用する見識です。「倫理」というと身構えてしまいそうですが、ジョーン・バージャーではありませんが、レベッカ・ブラッドからの「新米ブロガーへのアドバイス」と思ってもらえばよいです。

例えばブログ的に「誤報があれば公に訂正する」手法が正しく理解されていれば、ブログにおける記述の修正方法で疑念を招くことはなかったでしょう。また最近では、ブロガーに商品、サービスを取り上げてもらうことによる口コミを狙ったマーケティング手法が広まっていますが、個人的には「利害の衝突があれば開示する」という説明責任を最低限ブロガーには果たしてほしいところです。

そうそう、少し前にブログにおける新規参入の障壁と知名度の影響の話が話題になりましたが、結局何のために、誰のためにブログを書いているのかという話になるでしょう。それは何より自分自身のためではないでしょうか……というのが『ウェブログ・ハンドブック』に沿った優等生的回答なのですが(笑)、あえてそこから少し外れるなら、ゲーム的な視点のススメがあります。

飽くまでブログをゲームととらえ、人気ブロガーに取り上げてもらえるようなコンテンツを狙うのです。必要なのはニッチの志向ではなく帰納法です。自身の知的好奇心を満たしながら、人気ブロガーの力を利用してトラフィックを集めるのです。

言いたかないですが、「翻訳」もその一つの手段でしょう。もっともうちの場合、「他人へのトス上げ」ばかりでは楽しくないのでそれを徹底できず場末の弱小サイトのままですが、それに関しては文句はありません。

追記:『ウェブログ・ハンドブック』は装丁が一部読みやすさを著しく損ねていることで悪名が高いので、読みにくいと感じられた読者の方は遠慮なく当方までメール( ymgrtq at yamdas dot org )ください。該当部分のデジタルデータを提供させてもらいます。

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プロフィール

1973年生まれ。 ウェブサイトにおいて雑文書き、翻訳者として活動中。その鋭い視点での良質な論評に定評がある。訳書に『デジタル音楽の行方』、『Wiki Way』、『ウェブログ・ハンドブック』がある。

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