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山路達也の「エコ技術研究者に訊く」

地球と我々の未来の行方を左右するかもしれない、環境系技術研究の現場を訪ねる。

ボタンを押す振動で動作する「電池レスリモコン」(2)

2009年12月25日

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──発電床の場合、どれくらいの電気を起こせるものなんですか?

速水:振動源によっても変わってきますが、発電床の上を(1秒間に2歩ずつ)人間が歩いた場合、300球のLEDを歩いている間中、点灯させることができます。充電させれば、もっとずっと点けておくことも可能です。人通りの多いところなら、人の歩く振動だけでクリスマスのイルミネーションを点けておけるでしょう。

──発電床の耐久性やコストはどうでしょう?

速水:強度に関しては、自動車が乗っても壊れることはなく、10万回の繰り返しテストで耐久性も十分であることがわかっています。家などの床材としての価格は通常のものと同程度、道路なら1.5倍程度になると想定しています。

──小型機器への応用についてはどうでしょう?

速水:リモコンのようにボタンを押すという動作があるもの、例えばワイヤレスキーボードの電池をなくすこともできると思います。

こうした機器から乾電池がなくなれば、乾電池の廃液処理も不要になります。また、子どもが電池を間違って飲むという事故も減らせるかもしれません。人にも環境にも優しい製品ができるのではないでしょうか。

また、電池レスではないですが、将来的には携帯電話の補助バッテリーとしても使える可能性があります。

──今後のロードマップについて教えてください。

速水:現在は発電床の量産化を進めているところです。その次が、電池レスリモコンで、これは2011年には実現したいと考えています。リモコンはもう少し小型化する必要があります。そのあとは、道路での振動力発電を実用化したいですね。

これからの社会では、遠くの発電所から電気を持ってきて使うのではなく、必要なところで必要な人が必要な分だけ発電する、エネルギーの地産地消が重要になると考えています。

新開発のRF内蔵マイコンチップと電源制御回路で、電池レスリモコンを実現

今回開発された完全電池レスのリモコン試作品。無線方式はZigBeeをベースにした独自方式を採用している。

──電池レスリモコンの企画は、どういうところから生まれたのですか?

郡司:音力発電社さんが設立された2006年末に初めて社長の速水さんとお会いして振力電池をご紹介頂きました。それから、振力電池と弊社の低電力マイコンを使うとエコな製品ができるのではないかといろいろとアイデアを出し合ってきました。その1つがリモコンで、3年間かけて完全に電池レスとして実現することができました。

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プロフィール

1970年生まれ。雑誌編集者を経て、フリーの編集者・ライターとして独立。ネットカルチャー・IT・環境系解説記事などで活動中。『進化するケータイの科学』、『弾言』(小飼弾氏との共著、アスペクト)、『マグネシウム文明論』(矢部孝教授との共著、PHP新書)など。ブログは、こちら

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