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高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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コンバーチブル型ノートPC『Viliv S10 Blade』を試す

2010年4月 2日

ノートパソコンを新調しようと思っているが、『iPad』も気になる。でも大きめのガジェットを2台いつも携行するのは面倒だし、財布の事情も厳しい。iPadみたいなことができるノートパソコンがあればいいのに……と都合のいいことを考える筆者のような人間にとって、ノートとタブレットを切り替えて使えるコンバーチブル型の製品はかなり魅力的に映る存在だ。

そんな折、韓国Yukyung Technologies社製の最新コンバーチブル型ノート『Viliv S10 Blade』が日本で今月26日に発売されることになり、販売元のBRULE(ブルレー)から同製品のデモ機をお借りする機会を得た。仕様の詳細は同社のサイトに譲るが、SSD(32GBか64GB)のモデルで7万~9万円台、3点式マルチタッチ対応の10.1画面を搭載して重量1.2kg、バッテリーも最大10時間持つのなら、性能に対してかなり割安感があるのではないか。搭載メモリが1GBで増設できないのは惜しいが。

s10photo1.jpg

上の写真左のように、通常のノートパソコンと同じ前後に180度回転するヒンジの下に、水平方向にやはり180度回転する円形の台座があり、この2つの可動部によってノート型とタブレット型を切り替える仕組みになっている。デモ機はOSが『Windows 7』の英語版で、キーボード上の印字も英語のみ。ただし日本で発売される製品は、印字だけでなくキーボードの設計も別仕様になるとのこと。ボディ自体はB5サイズということもあり、キーピッチは十分確保されている。

真ん中の写真は、タブレット型にして机に平らに置いた状態。画面の縦・横表示は残念ながら、加速度センサーによる自動切り替えではなく、また専用の外部切り替えボタンもない。そのため、キーボード操作(Ctrl+Alt+上下左右キー)か、タッチパネル上で右クリック>Graphics Options>Rotation>90/180/270 Digreesという操作が必要になる。

[4/5追記:この件はブルレーに一度確認済みだったが、4/5に同社から追加で回答があり、コントロールパネルの「Pen and Touch」から「Flicks」という設定で8方向の動きを登録すると、画面をなぞることで画面の向きを変更できるようになる、とのこと。デモ機返却後のため筆者は未確認だが、画面上の簡単なタッチ操作だけで回転するなら、使い勝手がかなり向上するはずだ]

写真で表示しているのはWIRED VISIONのトップページだが、このように縦長のページもパネル上での2本指タッチで手軽にサイズ変更して、見やすい状態に収めることができる。

写真右のように、画像のスライドショーや動画を見るときはフォトフレームのような形状にして置いておけるのも、コンバーチブル型の利点のひとつ。

s10photo2.jpg

上の左の写真は、Flashを使って紙の雑誌に近いページめくり感覚を再現している『Virtual Tour of Cambrils, Spain』を操作しているところ。この手の操作は、マウスやキーボード上のタッチパッドなどでなく画面をじかに指先で触ってめくるのが単純ながらやっぱり楽しい。

右の写真では、青空文庫でダウンロードした『パンドラの匣』(去年冨永昌敬監督による映画化も話題になった)を表示している。英語OSだが、ボイジャーの縦書きインターネットブラウザ『アジュール(azur)』をインストールして問題なく使えた。ページめくりも写真中の左手親指で画面を軽く触れるだけでOK。ただし1.2kgという重量は、ほかに支えなしに片手でずっと持ち続けるにはちょっとつらい。逆に、寝そべった状態で使ったり、座った状態でひざやテーブルを支えにできるなら、こうした読み物やウェブを見るのに十分実用的だと言える。

以上、一通り使ってみた印象を書いて感じたことは、従来の一般的なノートパソコンとしての利用が主でタブレットPCとしての利用が従、というバランスで扱うユーザーに向くのではないか、というものだ。過度にタブレットPCに期待すると、使い勝手の点で不満を覚えるかもしれない。とはいえ、SSD搭載やバッテリーの持ちなど基本的なスペックはしっかりしているので、タッチパネルはときどき楽な姿勢で何かを読んだり遊んだりする程度でいい、と割り切れる人なら購入候補になるのではないか。

[以下はCES2010でS10の3点マルチタッチを試している動画]

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プロフィール

フリーランスのライター、翻訳者としての活動を経て、2010年3月、ウェブ・メディア・地域事業を手がける(株)コメディアの代表取締役に。多摩地域情報サイト「たまプレ!」編集長。ウェブ媒体などへの寄稿も映画評を中心に継続している。

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