安西史孝氏インタビュー(4):アップル10周年本に載った唯一の日本人
2009年2月16日
――Apple Computer社の10周年記念で出版された1987年の『So Far: The First Ten Years of a Vision』で、日本人として唯一安西さんが紹介されたそうですが、本の中でどのように取り上げられたのでしょう?
『So Far』は写真集であるため、各個人の経歴等は全く掲載されていません。私はエンターテイメント系のくくりでジム・ヘンソン[※]等と一緒に登場しています。
[※『セサミストリート』のキャラクター制作で知られるマペット作家で、『ラビリンス/魔王の迷宮』(ジェニファー・コネリー、デビッド・ボウイ主演)などの映画監督作品もある。Apple社の『Think Different』広告にも登場した。]
その時撮影された写真は、後にApple社のイベント用ビデオに多用されていました(『So Far』と題されたビデオが複数存在していたらしい)。
写真家はわざわざアメリカから来日し、日本では私の他にCGの藤幡さん[※]と車関係の記事を書いている人の3人が取材されています。私の写真は楽器が沢山写っていて見た目が良かったんで採用されたんだと思います(笑)。
[※映像作家の藤幡正樹氏。東京芸術大学大学院映像研究科メディア映像専攻教授。]
記事としては1987年の『Apple World News』(写真10)に掲載されています。
――TPOの再発盤の続きの見込み、ソロや別のユニットなど、今後の活動の予定を教えてください。
おかげさまで、『TPO1』は比較的好調に予約が伸びているようなので、続きはほぼ確実に発売されると思われます。
第2弾は『Hoshimaruアッ!』を含む1985年筑波科学博のものになる予定でしたが、権利元であるソニーが同曲のマスター貸し出しを拒否しているため作業が難航しています。ソニーは以前のテクノ歌謡CDでも同曲の使用を許可しませんでした。私が、なにか恨みを買うような事をしたのかもしれませんね(なにせ若い頃は身勝手なやな奴でしたから<身から出たサビ)。
なので、先行してコロムビアから出ていたリンダ・マスターズのアルバムが出るかもしれません。
予定としてはこの他にサントラの『オーディーン』、TPOのコマーシャルやイベントの音楽を収めた物が予定されていますが、発売にまでこぎ着けられるかどうかは分かりません。
また同時進行で、昔のアニメのサントラでテクノ系のBGMばかりを集めたアルバムが企画されていますが、こちらもまだ発売に持ち込めるかどうかは分かりません。
――最後に、ワイアード読者にメッセージを一言お願いできますでしょうか。
昔録音された物が再発されて、それを今の世代の人が聞いたら一体どう思うのだろうか?というのは興味があります。色々なサイトのレビューにどんな話が載るのかドキドキします。できれば誹謗中傷は書かないでね(笑)。
最後になりますが、どんなプロジェクトでも続ける事が大事だと思います。TPOは数年で挫折してしまいましたが、権利を持っている会社の社長とも「もう少し続けてれば何か見えたかもしれないのにねえ」と話しています。
ワンパターンと陰口を叩かれても、継続は力なりなんだと思います。
[関連サイト]
・『TPO1-25th Anniversary Edition』特設ページ(BRIDGE-INC.)
・『大人のためのアナログシンセ秘密基地計画』(安西史孝氏が運営するサイト)
・『Fumitaka Anzai's Synthesizer / Bricks world』(安西氏のYouTubeチャンネル)
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