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第8回 エコプロダクツ展見学記

12月13日から15日の3日間に渡って東京ビッグサイトで開催された「エコプロダクツ2007」。第9回目となる今回は、「地球と私のためのエコスタイル」をテーマに、およそ600もの企業やNPOなどの各種団体が参加。そんな日本最大のエコイベントにふさわしく、開催期間中は、各企業のエコプロダクツの展示のほか、小池百合子前環境大臣による基調講演やアルピニストの野口健氏らによるパネルディスカッション、エコカーの乗車体験会など、多彩なイベントが開催されていた。そして、3日間の開催期間を通しての総来場者数は、過去最高を記録しなんと16万人超(!)だったという。

自分も、16万人の1人として日本のエコの進み具合を実際に目にすべく、初日となる13日に松下グループをはじめとする各企業やNPOのブースなどを見学してきた。

松下グループの展示ブースでは、「松下グループのエコアイディア」をテーマに「商品のエコアイディア」「モノづくりのエコアイディア」「ひろげるエコアイディア」という3つのコンセプトのもと、エコプロダクツの展示や環境活動への取り組みが紹介されていた。

松下グループの「商品のエコアイディア」。エコプロダクツとバルーンが展示・紹介されていた

たとえば、「商品のエコアイディア」では、ヒートポンプななめドラム洗濯乾燥機やパルックボールプレミアといったエコ商品、コジェネレーションシステムやナショナルエコキュートなどエコ技術の紹介とともに、それぞれの商品や技術のCO2削減量を一日一人当たりのグラム数で算出したバルーンや省エネ生活のノウハウを解説したアニメ映像などを展示している。

「商品のエコアイディア」コーナーで、ヒートポンプ給湯器の仕組みを小学生のグループに解説している松下電器の説明員の人。

一方「ひろげるエコアイディア」では、以前このブログの第3回でも紹介したベトナムでの植林事業、中国黄海の環境浄化活動への取り組み、さらに環境対策工場の概要などが紹介されていた。

しかしなんといっても今回の目玉は「モノづくりのエコアイディア」の展示方法。こちらでは、プラズマテレビ「VIERA」を題材に、製造から物流、販売、利用方法、リサイクルに至るまで、どのような省エネ、環境対策のアイディアがたった一つの商品に凝らされているかを、ブースの1/3全部を使って紹介しているのだ。各所にリビングや貨物コンテナのセットも配置され、その臨場感には正直驚かされる。ちょうど解説ツアーが開催されていたので、自分も早速参加してみることにした。

ツアーはおよそ15分。ガイドのお姉さんが、身ぶり手振りを交えながら、鉛・水銀未使用のパネル、無駄を省いたディスプレイの切り出し方法、鉄道を使った省エネ物流、難燃型プラスチックパーツの再利用技術などを解説していく。紙芝居やクイズなど、プレゼンにも工夫を凝らしていたせいか、自分と一緒に回った子供たちが飽きずに目を輝かせながら説明に聞き入っていたのが印象的だった。

紙芝居やクイズ形式を取り入れ、子供を飽きさせない仕掛けになっているVIERAのガイドツアー。

このように、「ものづくりのエコアイディア」コーナーは、「VIERA」という1つの商品のライフサイクル全般を見据えた展示になっていて、「ゆりかごからゆりかごに戻るまで」という今回のプロダクツ展の考え方に沿ったものにもなっていた。「商品のライフサイクル」という考え方の普及とともに、「エコ」という言葉がその場しのぎの概念ではなく、より長いスパンで捉えられるものとなりつつあるようだ。

VIERAが生まれてリサイクルされるまでを説明した、10メートルの絵巻も展示されていた。

そうこうするうちにツアーも終了し、夏休みのラジオ体操のようにスタンプが1つ押された用紙をいただく。このスタンプラリーは、松下電器のブース内で説明員の方からエコアイディアの解説を5つ聞くとプレゼントとしてパルックボールプレミアが景品にもらえるというものだった。

スタンプラリーのプレゼント用パルックボールプレミア。これ自体もエコアイディアがたくさん詰まった商品だ。

こういったスタンプラリーの試みは松下電器のブースだけでなく、他の企業のブース、あるいはエコプロダクツ展全体でも行われていた。おそらく子供の入場者を明確に意識した試みのように思われる。加えてエコキャラクターの着ぐるみも充実していたし、多くの展示品がわかりやすい言葉で説明されていた。そして、子供の入場者は実際非常に多かった。

子供たちに取り囲まれるエコイメージキャラクター「お茶犬」。自分も一緒に写真を撮ろうと思ったがあまりの人気ぶりに断念。

取材後、自然食品コーナーのレストランで有機栽培野菜を使った中華丼を食べながら、「長期休みの課題でエコを題材に取り上げる小学生って、かなり多いんだろうなあ」としみじみ考えた。小さい頃からエコと身近に接していれば、きっと大人になっても「エコ」は“言わずもがなの常識”として身に付くのかもしれない。エコプロダクツ展は、そういった子供のエコ教育に、かなり大きな役割を果たしているのではないだろうか。

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プロフィール

小林ミノル

スタッフライター。1975年大晦日生まれ。30歳を過ぎ、エコの大切さに遅まきながら気づきはじめる。取材を通して、ニッポン企業の“縁の下の力持ち的”な環境対策を世に広めたいと考えている。