インターバル撮影の面白さ
2010年7月 8日
(これまでの 大谷和利の「General Gadgets」はこちら)
パンさせると違う風景が見えてくる
本来の予定では、今回は「自分なりに理想のiPadケースを試作してみる(後編)」となるはずだったが、まとめ方の部分で考えるところがあり、また、大阪・東京・札幌・京都と飛びまわっていたために落ち着いて工作する時間が取れず、一度、別のネタを挟むことにした。それは、iPhoneでインターバル撮影を行うためのロボット(?)雲台だ。
先頃、エイ出版から「iPhoneカメラ200%活用術」というムックを、企画・編集プロダクションのオブスキュア・インクさんとの共著で出したのだが、その記事のためにiPhoneのビデオ撮影アプリを試しているうちに、インターバル撮影に興味を持った。これは、何秒かに一度、あるいは何分かに一度、シャッターを切って撮影された連続写真を普通の速度で再生することによって、時間の流れを縮めて観察・観賞できる撮影法であり、微速度撮影などとも呼ばれる。
インターバル撮影可能なiPhoneアプリはいくつかあるが、個人的にはReelMomentsが使いやすかったので、それを普段使いにしている。
ただ、普通のインターバル撮影では、植物の成長記録のように、よほど撮影期間を長く確保したものでないと、普通に動画を撮って早回ししたのと変わらない映像になってしまう。そこで、何かひと捻りできないものかと思っていたときに、キッチンタイマーを用いてゆっくりとパン(カメラを横方向に振る撮影技法)しながらインターバル撮影を行っている人が海外に居るのを知った。そこで、見よう見マネで作ってみたのが、今回のアイテムだ。
ところが、日本の100円ショップにあたるアメリカのダラーショップ(1ドルショップ)ならば簡単に安く購入できそうなゼンマイ式のキッチンタイマーが、いざ探してみるとなかなか見つからない。安価なタイマーは、ほとんどがデジタル表示のものに置き換わっていて、ゼンマイ式のモデルは趣味性の高い高価な製品ばかりなのだ。
やっと見つけたのはナス型で、ややシンプルさに欠ける点が気になるものの、これを用いることにした。
最初に、頭頂部に小型のノコギリで切り込みを入れ、断面をヤスリで整えていく。あまり切り込みを深くしてしまうと、上下のケースを内部で留めるためのネジの受けの部分まで削りかねないので、ほどほどにしておくことが大切だ。
小型三脚に取り付けるためのネジ穴は、1/4W規格のナットで代用する。実際には、様々な場所に固定して利用したいので、一般的な三脚ではなく、クランプ型のものを取り付けることにした。
また、当初はウレタンの弾力だけでiPhoneを固定する予定だったが、それではやはり不安定なので、オリジナルの作者も使っているゴムによる固定法を採用することにした。
インターバル撮影では、長時間に渡ってオンの状態で撮影を続けるiPhoneのバッテリーの持ちが心配で外部電池を使う機会が多く、このゴムは、それを留めるためにも利用できる。
内部を見てみると、なるほど、一般的なタイマーが軒並みデジタル化している理由がわかる。このメカニズムは、取りだして他の工作にも流用できそうだ。
こうして出来上がった雲台を用いた作例を以下に示す。どれも普通に撮影しても何の変哲もないようなものばかりだが、インターバル+パン撮影を行うと、不思議に見入ってしまう。
もしも、ゼンマイ式のキッチンタイマーが手元にあったり、購入できるショップが見つかったなら、ぜひとも作ってみることをお薦めしたい。
大谷和利の「General Gadgets」
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