このサイトは、2011年6月まで http://wiredvision.jp/ で公開されていたWIRED VISIONのコンテンツをアーカイブとして公開しているサイトです。

大谷和利の「General Gadgets」

古今東西、デジ/アナを問わず、優れたコンセプトを持つ製品を独自の視点で紹介する。

iPhone 3GSのビデオ機能活用のために、充電機能付きグリップを自作する

2009年8月 6日

(これまでの 大谷和利の「General Gadgets」はこちら

充電機能付きグリップ

 

ハンディビデオスタイルでの撮影に対応

iPhone 3GSでは、3Gに比べて様々な機能強化が行われた。便利に感じるところは人それぞれと思うが、YouTubeへのiPhoneからの投稿が大幅に増加中ということからは、ビデオ撮影機能や動画の簡易編集(トリミング)機能に惹かれたユーザーの数はかなりに上るものと考えられる。

しかし、静止画の撮影は一瞬で済むのに対し、ビデオ撮影は多少長めになる傾向があり、iPhone自体を直接手で持つのでは手ぶれが起こりやすく、またバッテリーの消費量も心配になる。

そこで、手近な材料を使って、充電も可能なビデオ撮影用グリップを作ることにした。

固定の確実さ、脱着の容易さ、デザインの良さなどを考慮して用意したのは、パワーサポート製エアジャケット、Linkage製ACアダプタ兼リチウムイオン充電池、ケーブル類、合成皮革風粘着シートなどである。

業界最薄のパワーサポート製エアジャケットを利用

iPhoneの脱着が容易なように、固定部分のベースには、業界最薄のパワーサポート製エアジャケットを利用することにした。

Linkage製ACアダプタ兼リチウムイオン充電池

満艦飾的なパッケージは何とかしてもらいたいところだが、サイズや値頃感(ヨドバシカメラで3,280円)から選択したLinkage製ACアダプタ兼リチウムイオン充電池。これをグリップに転用する。

家庭用電源延長ケーブル

iPod用ケーブルは同梱されないので別に購入し、その他に短めの家庭用電源延長ケーブルも用意した(理由は後述)。

合成粘着シートbelbien

belbien(東急ハンズで367円)は、建築内装などに使われる合成粘着シート。グリップの滑り止め兼、余計なグラフィック要素を隠すために利用する。


Linkage製充電池は、筐体の過剰なグラフィックデザインが気になるが、ACアダプタとしても使える機能性や、重量が比較的軽いこと、リーズナブルな価格などから選択したもの。

グリップとして利用するため、幅が極端に広くないことも選択基準の1つだった。

ACアダプタ兼リチウムイオン充電池

ACアダプタ兼リチウムイオン充電池をパッケージから出したところ。上部にUSBポートと接続デバイスに電源供給を開始するスイッチ、そしてインジケータランプを備える。

内部バッテリーの充電

反対側には、コンセントに直接差し込んで内部バッテリーの充電、あるいは、接続デバイスに直接電源供給するための折りたたみ式プラグがある。

当初は、iPhone側とグリップの接続(合体)に、ドックコネクタを利用することを考えていたが、そうなると別の金具などのパーツも必要となり、加工の簡便さやデザイン的なスマートさが損なわれる可能性が高い。

しばし考えるうちに、コンセントプラグを利用することを思いつき、そこから材料集めや工作が一気に進んだ。

エアジャケットとグリップの物理的な合体

エアジャケットとグリップ(となる充電池)の物理的な合体に、このコンセントプラグを応用する点が、今回のアイデアの核となった。電源延長ケーブルのメス側のみを切断し、エポキシ系接着剤で固定。

それぞれのパーツが完成

エアジャケットのほうは、接着剤が乾燥したところでゴム系塗料をスプレーして仕上げ、充電池兼グリップにはbelbienを貼りつけてそれぞれのパーツが完成。

コンセントプラグを利用

両者を組み合わせるには、コンセントプラグを利用する。実際にはこの後で、USBケーブルの収まりを考え、ゴムチューブを半分に割ったパーツを貼り付けてその中を這わせるようにした。

グリップの合体位置は、中央でも良かったのだが、片手でグリップを握ったままシャッターボタンの操作を行いたかったので、スクリーンに向かって右側にオフセットするようにした。

持ち運ぶときは簡単に分解でき、しかも、ビデオ撮影を行わないときにも、普通にiPhone用の外部電源としても利用できるので、一石二鳥である。

もちろん、本来の目的であるビデオ撮影も、安定して長時間行える。今後、iPhone用の充電池メーカーは、このような機能性を付加価値として付けると、より多くのユーザーにアピールできるのではないかと思う。

グリップ使用時の様子

グリップ使用時の様子。コンセントプラグをこのように垂直に差し込んだときが、最も安定した状態での撮影が可能だが…

コンセントプラグの折りたたみ途中のクリックを利用

コンセントプラグの折りたたみ途中のクリックを利用すると、やや角度をつけた状態で固定することもできる(プラグ自体は、やや浮いた状態となる)。

撮影を長時間行う場合にも疲れない

撮影を長時間行う場合には、このほうがエルゴノミクス的に優れており、腕の角度を自然に保つことができるので疲れない。

フィードを登録する

前の記事

次の記事

大谷和利の「General Gadgets」

プロフィール

テクノロジーライター、原宿 AssistOnアドバイザー、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真分野などの執筆活動のほか、商品企画のコンサルティングを行う。近著に「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、「43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意」、「iPadがつくる未来」(以上、アスキー新書)。「Macintosh名機図鑑」(えい出版社)、「iPhoneカメラライフ」(BNN新社)、「iPhoneカメラ200%活用術」(えい出版社ムック)、「iPhone×Movieスタイル」(寄稿:技術評論社)。

過去の記事

月間アーカイブ