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大谷和利の「General Gadgets」

古今東西、デジ/アナを問わず、優れたコンセプトを持つ製品を独自の視点で紹介する。

デジタル時代のインスタントプリンタ『PoGo』をフェイク・ポラロイド化する

2009年4月 1日

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旧き良き名機が擬似的に復活

インスタント写真の代名詞として一時代を築いたポラロイド社のエンジニアたちが移籍して技術開発にあたった、ジンク・イメージング社の「ZINK(=Zero Ink)」と呼ばれるインク不要の技術がある。現在、これを応用した製品は、タカラトミーのXIAO、ポラロイドのPoGo、デルのWasabiの3種。筆者は、このうちXIAOとPoGoを愛用している。どちらも、ブラックモデルだ。

タカラトミーのXIAO(左)とポラロイドのPoGo(右)は、どちらもジンク・イメージング社の「ZINK(=Zero Ink)」テクノロジーを採用しており、インスタント写真のようにフルカラープリントを楽しめる。

画質は良くできたプリクラという感じだが、その場で撮影したものを印刷して見せると、即時性が評価される一方で、クオリティ的な不満はほとんど聞かれない。

XIAOは内蔵カメラの他に赤外線通信でも印刷でき、PoGoはPictBridgeかBluetooth経由での印刷が可能なので、バッグに忍ばせておけば、携帯やデジタルカメラ、Macなどから直接プリントが得られる便利さがある。

デザイン的にも、ブラックモデルだとXIAOにはSX-70(往年の折りたたみ式一眼レフポラロイドカメラ)的な雰囲気があり、PoGoもシックな感じでなかなか良い。

ただし、趣味性という点でPoGoはモダンすぎるところもあり、持ち歩きの際のケースについても考えるうちに、1つのアイデアが浮かんだ。折りたたみこそできないが、SX-70と同じフィルムを使った普及モデルのPolaroid 1000の筐体を活かして、その中にPoGoが入るようにするというものだ。

Polaroid 1000カメラは、SX-70フィルムを使うインスタント写真の大衆化を狙って開発された樹脂製モデルだった。「1000」のロゴフォントに'70年代を感じる。

カメラの中身をモバイルプリンタのPoGoと置き換えた結果、あたかも写真を排出するようにプリントが得られるカバー兼キャリングケースが完成した。Bluetooth経由で印刷すると、まるでスタンドアロンで機能しているかに見える。

中身は至ってシンプルで、撮影メカをそっくり抜き取って、PoGoプリンタを固定できるようにしただけ。ただし、分解には結構手間がかかり、一部、金属フレームを切断したりする必要もある。

もちろん、ドナーとなるPolaroid 1000の中身はそっくり取り出す必要があり、カメラとしての用をなさなくなる。しかし、いずれにしてもポラロイドフィルムはすでに生産中止されており、このまま使われなくなるよりも、PoGoのケースとして活躍してもらうほうが幸せな面もある。

元々、各パーツが巧妙なはめ込み式で組み立ては容易だが、ユーザーに分解させることは考えられていない構造のため、中身の取り出しには苦労した。それでも、借り組みしてみると、内部の奥行きやフィルム排出用のスリットの位置はPoGoにほぼピッタリ合うことがわかった。そこで、スポンジなどを利用して、しっかりした固定と脱着の容易さを両立できるようにし、側面にスイッチ操作やUSBケーブル接続用の窓を設けて完成にこぎ着けた。

側面に穴を開け、PoGoの電源スイッチへのアクセスや、USBケーブルを使ったPictBridgeによるデジタルカメラからの直接印刷も簡単に行えるようになっている。

一度に装填できるZINKフォトペーパーが10枚までなので、補充のたびにPoGo本体を取り出す必要はあるものの、それだけの枚数をまとめてプリントすることはめったにないため、さほど問題ではない。

それよりも、実際にポラロイドカメラから出力されるかに見えるようになった改造結果には大満足だ。古いがジェットをこんな風に再利用する機会は、これからも増えそうな予感がしている。

なお、来る4月29日(水)から5月3日(日)にかけて、大阪は、なんばパークス内にあるSOZショップにて、iPhoneとカメラアプリを使って撮影した写真によるグループ展を開くことになった。展示するプリントには、PoGoを使って印刷したものも含まれる。

また、本コラムで以前に紹介したiPhone用フェイクカメラカバーの限定販売も予定している。

詳しくは、使用アプリの公式サイトにて順次告知していくので、乞うご期待だ。

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プロフィール

テクノロジーライター、原宿 AssistOnアドバイザー、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真分野などの執筆活動のほか、商品企画のコンサルティングを行う。近著に「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、「43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意」、「iPadがつくる未来」(以上、アスキー新書)。「Macintosh名機図鑑」(えい出版社)、「iPhoneカメラライフ」(BNN新社)、「iPhoneカメラ200%活用術」(えい出版社ムック)、「iPhone×Movieスタイル」(寄稿:技術評論社)。

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