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大谷和利の「General Gadgets」

古今東西、デジ/アナを問わず、優れたコンセプトを持つ製品を独自の視点で紹介する。

テーブルトップの「聖域」:The Sanctuary

2008年9月16日

(これまでの 大谷和利の「General Gadgets」はこちら

ご想像の通り、この連載の筆者である大谷の部屋は電子ガジェット類であふれている。もちろん、闇雲に買っているわけではなく、購入するからにはそれなりのこだわりを持って選択しており、手放すことはほとんどない。

そのすべてを常用することは不可能だが、それでもいくつかの製品は、いつも充電状態を保つ必要がある。

同じ悩みを抱える人は決して少なくないと思うが、いざ複数のガジェットを一度に充電しようとするとコンセントが足りなくなることもたびたびで、家のあちこちに分散して充電することも多い。

あるいは、ACアダプタが見つからなかったり、帰省時などに専用充電器を実家に持ち帰って、そのまま忘れて自宅に戻ってくるというようなことも起こり、結局、予備のアダプタを買う羽目になったりする。

理想的には、すべての機器の充電用コネクタ形状と要求電力が等しければ、問題解決もかなり簡単になるのだが、それは望んでも叶わない理想論だ。

そこで、あるデザイナーが、充電器の側からアプローチすることを考えた。つまり、一般的に普及している製品用のコネクタをすべて備え、それぞれに適した電力供給が行われる万能充電トレイとでもいうべき製品を作り上げたのである。それが、The Sanctuaryだ。

シンプル極まりない外観を持つThe Sanctuary本体。カラーリングは、このホワイトのほかにブラックがある。

The Sanctuaryは、ミニUSBとマイクロUSBを含む11種の充電ケーブル/コネクタ、および1個の汎用USBポートを備え、それ自身の電源部と家庭用コンセントを1本のケーブルで接続するだけで、自動的に電力が配分される仕組みになっている。

11種の充電コネクタの内訳は、The Sanctuaryの販売地域に合わせて異なり、日本の場合には携帯電話のドコモのFOMAやソフトバンクモバイル、auの各製品用のものなどが含まれる。もしも、手持ちの機器に対応するコネクタが無い場合は、それに付属するACアダプタからのケーブルをThe Sanctuary内に引き入れることで、少なくともそのガジェットの定位置として利用可能だ。

内部には、11種に及ぶ充電ケーブル/コネクタと1個のUSBポートが組み込まれている。トレイはブラックとタンのリバーシブルタイプで、インテリアやガジェットのカラーに合わせて選択できる。

11種の充電コネクタ(+USBポート)の内訳。ノキアの携帯電話からiPhoneまで、ほとんどの市販ガジェットに対応でき、それでも足りなければ、機器付属の専用ACアダプタからのケーブルを引き入れることもできる。

USBポートにケーブルを挿して使う場合や、外部のACアダプタからのケーブルを引き入れた際には、余った部分をこのように巻き付けておける。iPhoneのように要求電力の大きな機器は、内蔵ケーブルを使って単独で充電するか、(他のガジェットと同時に充電したいときには)内部のUSBポートに専用充電ケーブルで接続して必要がある。

もちろん、1つのコンセントからの電力供給には限りがあるので、内蔵コネクタのすべてを電子ガジェットに接続して同時に充電することは無理だが、実際に同時充電可能な数は機器の仕様によって異なるため、The Sanctuaryでは巧妙かつ単純な判定法が用意されている。緑に点灯する内部のインジケーターランプが点滅状態になるまで、充電機器の数を増やせるのだ。

また、トレイのサイズも、3〜4個の電子ガジェットで一杯になる大きさなので、これも目安になる。

インジケーターランプが緑に点灯している限り、複数のガジェットを同時に充電可能な状態にある。総充電量が多すぎる場合にはランプが点滅するので、接続した機器を、ランプが点灯状態に戻るところまで外す。

ニンテンドーDS Lite、ガーミン社のポータブルナビnuvi 250、iPhone 3Gをセットしたところ。電子ガジェット以外にも鍵や腕時計など、普段持ち歩くものを置いておけば、外出時の忘れ防止にもなる。

欲をいえば、トレイの底面を外すことなくインジケーターランプが確認できると、同時充電可能なガジェットの種類を決めやすいと思えるのだが、この製品で想定されているのは、種類を決めたらしばらくはその組み合わせのままで使うという利用法なのだろう。それならば、普段はインジケーターランプが隠れているほうが、外観をシンプルに保つことができて好ましい。

19,800円という価格は決して安くはないものの、これだけの充電器を個別に用意することを考えれば十分リーズナブル。個人的には、「機能するインテリアアクセサリ」として大いに気に入っている。

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プロフィール

テクノロジーライター、原宿 AssistOnアドバイザー、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真分野などの執筆活動のほか、商品企画のコンサルティングを行う。近著に「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、「43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意」、「iPadがつくる未来」(以上、アスキー新書)。「Macintosh名機図鑑」(えい出版社)、「iPhoneカメラライフ」(BNN新社)、「iPhoneカメラ200%活用術」(えい出版社ムック)、「iPhone×Movieスタイル」(寄稿:技術評論社)。

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