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大谷和利の「General Gadgets」

古今東西、デジ/アナを問わず、優れたコンセプトを持つ製品を独自の視点で紹介する。

思いつきと勘違いでiPhone用ストラップとスピーカーを作る - 2

2008年8月11日

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さて、もう1つの工作は、勘違いから始まった。奇しくもiPhone 3Gの発売日と同じ7月11日にマクドナルドが始めたハッピーセットの新しいオマケがiDogであることを知った大谷は、それが本来のセガトイズのiDogと同じようにiPod/iPhoneの外部スピーカーとして利用できるものと思い込み、さっそくハッピーセットを購入してみたのだ。

ところが、(よく考えてみれば、本来は子供向けなので当たり前だが)実際には鼻のスイッチや耳を動かすことで反応して決められた音楽や鳴き声を発するのみで、音声信号の外部入力には対応していなかった。そこで、改造して外部入力ができるようにしたのである。

改造済みの1台(左端)を含む、マクドナルドのハッピーセットのオマケのiDog。実際には、この他に本体色がレッドのバリエーションもある。

分解してみると、ローコストのオマケのはずだが、その割には工夫されていて良くできている。また、サイズの小さな筐体内を細い配線ケーブルが何本も走り、組み立てにもそこそこ手間がかかったものと思われる。中国製造以外では、このコストパフォーマンスの高さを実現することはできなかったに違いない。

分解のために外すネジは3カ所。右前足の付け根と、電池室カバーを兼ねる右後ろ足の付け根、そして電池室内部の隠しネジだ。ネジは頭頂部の凹みが正三角形の特殊なものだが、適切なサイズの精密ドライバーを三角形の一辺に押し当てるようにして回せば緩められる。

スピーカーとスイッチが収められたiDogの内部。ボディの色によって異なる再生音や鳴き声の制御基板は頭部内にある(イエローのみ胴体内にも基板を持つ)。隙間が多いように見えるが、元々のサイズが小さいため、配線などもギリギリで行われている。

ということで、自分も配線工になった気分で、外部入力用のケーブルをハンダ付けしていく。ケーブルは、ステレオミニプラグからモノラルミニプラグに変換するタイプの製品を選び、モノラルミニプラグ側をカットして内部配線を露出させる。こうしてできた2本の線を、スピーカーの入力用接点にハンダ付けすれば良い。

本当は外部入力用の配線を首の後ろから出して、犬のリード(引きひも)風にしたかったのだが、首回りにはほとんど配線を通す余裕がなく断念。一番ケーブルの取り回しが容易な、ボディ後端部からケーブルを出すことにした。

使用するケーブルは、ステレオミニプラグ(iPod/iPhone側に使用)とモノラルミニプラグの変換用のもの。モノラル側のプラグを切断して被覆を剥がし、内部の配線を露出させておく(写真は切断のみの状態)。


ケーブルは同軸化されているため、周囲の銅線を束ねて1本の線とし、芯線がもう1本の線となる。極性は関係ないので、元からの配線がハンダ付けされているスピーカーの周辺部(写真ではオレンジの丸印)に、それぞれハンダ付けする。また、本体の後端(同じくオレンジの矢印部分)を削って、ケーブルを通す穴とする(反対側のシェルも同様に加工)。

今回は、電池不要で鳴るようにアンプなしでケーブルとスピーカーを直結したため、最大ボリュームにしてもたかが知れており、音質的に期待するようなものでもないが、静かな部屋ならばそれなりに聴くことができる。

元のプリセット音源の再生機能も残してあるので、そちらで遊ぶこともできるが、余計な電圧が外部入力ケーブルを通じてiPod/iPhone側にかからぬよう、プレーヤーをつないで楽曲を再生する際には、iDogのメインスイッチはオフにしておくほうが良いだろう。

元通りに組み立て直して完成。本体内にモノラルスピーカーが内蔵されているiPhoneでは、あまり必要ないが、iPodやiPod touchならばちょっとしたミニスピーカーとして利用できる(アンプ内蔵ではないため、静かな部屋でプレーヤー側の音量を最大にして聞こえる程度)。

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プロフィール

テクノロジーライター、原宿 AssistOnアドバイザー、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真分野などの執筆活動のほか、商品企画のコンサルティングを行う。近著に「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、「43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意」、「iPadがつくる未来」(以上、アスキー新書)。「Macintosh名機図鑑」(えい出版社)、「iPhoneカメラライフ」(BNN新社)、「iPhoneカメラ200%活用術」(えい出版社ムック)、「iPhone×Movieスタイル」(寄稿:技術評論社)。

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