マシンガン型自転車ブザー&自転車専用クロック
2008年4月10日
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最近ではその存在すら忘れかけられているが、かつては、どこの街角でも見かけられたものに、公衆電話ボックスや街頭時計がある。しかし、もっとマイナーな製品は、それが作られていた当時でさえ、人々の目に触れなかった可能性がある。今回は、そんなアイテムの中から自転車用のアクセサリを2点ほど紹介したい。
まずは、マシンガン型の自転車ブザー。30年以上経っていそうなパッケージには「BICYCLE HORN」と書かれているが、実際に発せられる音はホーンでもブザーでもなく、甲高い「タタタタタン」という連続した金属音だ。
それも、そのはず。この製品はマシンガンを模したもので、スイッチを押すと、2つの砲身が交互に前後に動きながら、弾丸発射の効果音を出すのである。
古い輸出用のものと思われる、マシンガン型自転車ブザーのパッケージ。
B級スペースオペラに登場する宇宙船を思わせる製品本体の勇姿。
何とも物騒なコンセプトであり、こんなもので注意を促される歩行者はたまったものではない。しかし、ギアとクランク機構を組み合わせて、砲身(銃身というよりも、このほうが相応しい)を動かし効果音を出す機構は巧みであり、実用品でありながらブリキのオモチャ的な面白さも持ち合わせている。
子供(特に男児)にとって自転車は、時に空を翔る戦闘機のような存在であり、撃墜王にでもなったつもりで、こういうものを付けて遊んだのであろう。その意味では、マシンガンというカタカナ言葉のイメージよりも、2連の機銃を思い浮かべるほうがしっくりくる。
カバーを開けてみれば、内部は時代を感じさせる単一電池用のバッテリーボックスとなっており、全体サイズの大きさにも合点が行く。昔は、電池の容量を稼ぐには、単純に化学物質を増量するのが一番という単純思考だったのだ。
大きな単一電池2本で駆動するところに時代性が表れている。
懐かしい紺色はマブチモーター。これ1つで、砲身の動作と、左側に見える効果音用の鉦叩きを行う。
一方、卓上時計といえば依然としてゼンマイ式が主流だった頃には、何と自転車専用のクロックも作られていた。昨今の健康&エコロジーブームとは違った意味合いで自転車が活躍していた昭和30年代後期~同40年代初頭のものと思われるこの製品は、当時一世を風靡していたツノダ自転車のブランド名入りだ。
ツノダ自転車は、株式会社ツノダとして今も存続しており、懐かしのCMソングもここで聞くことができる。
「ツン、ツン、ツノダのT.U(テーユー)号」というコマーシャルソングで知られたツノダ自転車ブランドのハンドル取り付けクロック。
おそらく、最盛期にはラジオ付きのものまで出現したフラッシャー自転車向けのオプションか何かだったのだろう。スピードメーターのようにも見える自転車クロックは、ゼンマイを巻き上げると今でも意外なほど正確に時を刻み、周囲の視線さえ気にならなければ、十分実用になる。本気で作られたアクセサリであることは、それなりの耐振動性や防滴性能も備えていると思われる構造からも理解できる。
マシンガン型自転車ブザーも自転車専用クロックも、今の眼から見ればあまり洗練されているとは言い難いが、どちらも奇妙な魅力を放っている。それはきっと、これらが作られた時代の勢いのようなものを宿しているからかもしれない。
周囲のゴムパッキンや密着した裏蓋により、軽い防滴型となっているようだ。
裏蓋を開けるとゼンマイ巻き上げノブ、時刻合わせノブ、針の進捗の微調整スロットが現れる。ゼンマイは、何故か、逆(左)巻きだ。
ちなみに、両アイテムを実際に自転車のハンドルに取り付けたところが、以下の写真。3月16日に六本木の東京ミッドタウン内「インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター」で開催された10分間プレゼンイベントのDEMOsaの会場で、ラフな時刻の確認とプレゼン時間超過者への警告(?)用として用意したものだ。
今回の2アイテムを、イギリス製の折りたたみ自転車「SKOOT」のハンドルに取り付けたところ。結構な大きさがあることがわかる。このカットは、DEMOsaのの会場となった東京ミッドタウンのインターナショナル・デザイン・リエゾンセンターの超高解像度パノラマイメージから切り出して調整したものだ。
最後にちょっと話は変わるが、1回目も盛況のうちに終了したDEMOsaは、早くも2回目が5月18日に予定されており、観るだけでなく、スピーカーとしての参加も大歓迎だ。
国際的なデザインの人材育成拠点であるインターナショナル・デザイン・リエゾンセンターは、財団法人日本産業デザイン振興会の一部門で、ミッドタウン・タワー5階の企画展示にも一見の価値がある。今回のアイテム2つも、再び持ち込むつもりなので、実物をご覧になりたい方はぜひ足を運んでいただきたい。読者の皆さんのご参加を、心よりお待ちしている。
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大谷和利の「General Gadgets」
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