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大谷和利の「General Gadgets」

古今東西、デジ/アナを問わず、優れたコンセプトを持つ製品を独自の視点で紹介する。

MacBook Air専用/自作&リサイクルのAir Tray Case

2008年2月27日

(これまでの 大谷和利の「General Gadgets」はこちら

そろそろMacBook Airが手元に届いたユーザーの数も増えてきたようだが、実機が来たら来たで頭を悩ますのが、そのためのキャリングケースである。もちろん、従来のMacBookやMacBook Pro用のケースでも余裕を持って入れられるし、実用上は問題がない。しかし、せっかく本体が極薄なので、その余裕の部分がかえって気になるわけだ。できれば、ピッタリしているくらいのスリムなケースが欲しくなっても不思議ではない。

AssistOnでも、本来はA4サイズのノートパッドと筆記具などを持ち運ぶためのfilofax社のコンファレンスフォルダー“DOMINO”がサイズ的にMacBook Airにジャストフィットするため、これを流用するカスタマーが増えている。もちろん専用品ではなく、クッション機能や樹脂製ジッパーの内側とAir本体の接触防止カバーなども備わらないので自己責任での使用となるものの、確かにこの持ち手付きのバインダーは極薄ボディにマッチする。気になる方は、店頭に愛機を持ち込んでチェックしてみることをお勧めしたい。

ところで、自分はと言えば、実は私用のMacBook Airが届いたときから、そのパッケージの出来の良さに感心していた。特に気になったのが、iPod touchなどと同じポリスチレン樹脂でできた黒い製品トレイだ。製品を取り出した後、そのまま仕舞い込むのはもったいないので、何かに使えないかと思ったわけである。

1枚では単なるトレイだが、たまたまAssistOnからの荷物の中に、社長の大杉が自分には不要だからと入れてくれたトレイがあり、2枚を合わせたところ、これはケースにできそうだという予感が…。さっそく材料を買ってきて作ってみたのが、今回紹介するAir Tray Case(自称)だ。

Tray Caseの全体イメージ。半分くらいは(?)、"Designed by Apple in Carifornia"と言っても良いだろう。

なぜなら、この自作ケースは、MacBook Airのパッケージに入っているトレイを利用しているからである。

MacBook Airのユーザーにはおなじみのトレイは、ポリスチレン性。断熱性が高く、樹脂製の食器やエッグカートンなどに用いられる素材だ。

当初、2枚のトレイをつなげるヒンジ部分には、ピアノの鍵盤の蓋部分などで使われるピアノ蝶番を短く加工して使うつもりだったが、縁の幅が狭く、穴を開けると強度的に持ちそうもないことが判明して断念。結局、シェル部分でMacBook Airの重量を支えなければ、ヒンジ部分が強固である必要はないという結論に達し、革製のハンドルが内部で帯状につながって、それ自体がマシン本体を挟むように支持する構造とすることで、トレイの接合はパーマセルテープで行うことにした。

Tray Caseを開いたところ。革素材のハンドルは、左右が内部でつながっており、帯の部分でMacBook Airを挟むように安定して支持できる構造になっている。

この構造により、MacBook Airの重量がシェル部分にはほとんどかからず、傷などから本体を守るプロテクター的な役割のみを果たすのである。

元々がMacBook Airの専用トレイなので、筐体との形状的な相性はピッタリ。抜群のフィット感が得られる。

2枚のトレイをつなぐヒンジに当たる部分には、目張りや絶縁に使われるパーマセルテープを使用した。

そのような構造なので、運搬中に不用意にシェルが開いてしまうことはないのだが、念のため、上部の左右の隅に強力な希土類磁石をつけて、ラッチレスで開閉できるように工夫してみた。

そして、ハンドル部分に張りを与え、持ちやすくなるように、文具として普通に売られている樹脂製の綴じ具を長さを合わせて取り付け、アクセントとした。Mac製品に同梱されるアップルロゴのステッカーは、バランス的にはやや大きすぎる感もあるが、お約束ということで貼り付けている。

革製のハンドル部分は、安価に販売されていた端切れを加工したものであり、全部併せても材料代は2000円程度。たまには頭の体操も兼ねて、こうした工作に没頭するのも面白い。そして、その成果物が実用品として使えるならば、なおさらだ。

閉じた状態で2枚のトレイを固定するのは、ラッチレスのMacBook Airに倣い、強力な希土類磁石を利用している。

ハンドル部分を補強しているプラスティックパーツは、実は書類などを束ねて挟み込む樹脂製の綴じ具を切って利用したものだ。

ハンドルの革は、トレイに元から設けられているスリットをくぐらせているだけで、固定されていない。

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プロフィール

テクノロジーライター、原宿 AssistOnアドバイザー、自称路上写真家。デザイン、電子機器、自転車、写真分野などの執筆活動のほか、商品企画のコンサルティングを行う。近著に「iPodをつくった男 スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」、「iPhoneをつくった会社 ケータイ業界を揺るがすアップル社の企業文化」、「43のキーワードで読み解く ジョブズ流仕事術:意外とマネできる!ビジネス極意」、「iPadがつくる未来」(以上、アスキー新書)。「Macintosh名機図鑑」(えい出版社)、「iPhoneカメラライフ」(BNN新社)、「iPhoneカメラ200%活用術」(えい出版社ムック)、「iPhone×Movieスタイル」(寄稿:技術評論社)。

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