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木暮祐一の「ケータイ開国論」

ケータイの最新情報を押さえながら、今後日本のモバイルサービスが目指すべき方向を考える。

今年のトレンドは、ケータイが「相棒」になる?!

2008年4月21日

(これまでの 木暮祐一の「ケータイ開国論」はこちら

 ソフトバンクモバイルは、26日より「相棒(バディ)へ成長する」をコンセプトにしたモデル、フォンブレイバー 815T PBを発売すると発表した。テレビ東京系6局ネットにて放映される『ケータイ捜査官7(セブン)』に登場するキャラクター「フォンブレイバーセブン」「フォンブレイバーゼロワン」をそれぞれモチーフにしたモデルである。

 『ケータイ捜査官7』は、高校生の綱島ケイタが、ある日予期せぬ事態に巻き込まれたことで、ネットワーク犯罪を取り締まる秘密機関「アンダーアンカー」のエージェントとなり、翻弄されながらも成長していくという姿を描いたドラマだそうだ。この番組には、なんとケータイが「フォンブレイバー」へとトランスフォームし、番組の中で大活躍するらしい。

 かつて、SF映画には腕時計型通信機器がつき物だったし、ケータイが日常化した後は、たとえば変身するためのアイテムとしてケータイが利用されたドラマもあった。ケータイが日常生活に浸透するにつれ、ドラマのストーリーにも色々な形でケータイが登場してきた。そんな中で、この『ケータイ捜査官7』は新しいパターンでのケータイの登場事例だろう。

 そして、そのドラマに出てくるケータイを模したモデルが実際に発売されるというのも面白い。この「フォンブレイバー 815T PB」は、同梱されている「フォンブレイバーパーツ」(株式会社ウィズ製)を本体に装着することで、ドラマに登場するキャラクターと同様な「手足のあるケータイ」となり、番組の登場シーンさながらのさまざまなポーズを楽しめる。

 ケータイに手足をつけるのも革新的(?)だが、筆者はこの端末に搭載されている人工知能型待受けアプリ「バディトーク」が気になる。「バディトーク」通じてケータイが文字でケータイ所有者に話しかけてきたり、質問したりするらしい。その返答次第で端末内のこの人工知能が学習し、ケータイ所有者の行動に沿った内容で話しかけてくるなどして、ケータイがまさに自分自身の相棒(バディ)に成長していくそうだ。


フォンブレイバー ソフトバンク815T PB


 どうも今年のケータイサービスのトレンドのひとつが、この「ケータイが相棒」になる機能・サービスのようである。

 先だって、4月2日からサービス開始されたコンテンツサービス「CLON」は、同様にケータイサイトの自分専用のページで、キャラクター「CLON」を育てるサービスである。


CLONのマイ・ルームを覗くと、自分の分身のCLONが勝手に日記を綴っていたりする。

 このサービスの場合、まず自分自身の名前(または愛称など)を入力すると、語感分析の技術により、自分自身のタイプを引き継いだキャラクター(CLON)が生成される。その後はパディトーク同様に、CLONが(文章で)話しかけてくるので、それに答えていくと、より自分自身の行動や性格を理解したキャラクターへと成長し、ときには話し相手になってくれたり、アドバイスしてくれたりするという。パディトークの場合は「フォンブレイバー 815T PB」でしか利用できないが、「CLON」は全キャリア対応で、手持ちのケータイから誰でも利用できる。

 いつでも持ち歩くケータイは、大切な相手とのコミュニケーションを媒介する機器であった。今後は、このケータイ自身が、時にはユーザーの話し相手になったり、アドバイザーになるようなシチュエーションも増えていくのだろう。「ケータイが話し相手」だなんて、ちょっと寂しい気もするのだが。

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プロフィール

1967年東京都生まれ。携帯電話研究家、武蔵野学院大学客員教授。多数の携帯電話情報メディアの立ち上げや執筆に関わってきた。ケータイコレクターとしても名高く保有台数は1000台以上。近著に『Mobile2.0』(共著)、『電話代、払いすぎていませんか?』など。HPはこちら

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