ポスト・検索エンジン時代(4) 次世代の検索エンジンとは
2007年11月24日
いまの検索エンジンの仕組みでは、ある特定の文書内に回答が含まれていない場合、人間が別の文書を何個も見比べて、そこから回答を掬い上げていかなければいけません。これにはひどく手間がかかります。
だとすると、「次世代の検索エンジン」とは、コンピュータが複数の文書にわたるさまざまなコンテンツから回答を自分で作成してくれるものなのではないかと思います。つまり「自動収集」「自動編集」「自動要約」が次世代の検索エンジンのテーマだということです。
こういった考え方は、実は「World Wide Web」を開発したティム・バーナーズ=リーが最初からすでに言っていました。コンピュータがいろいろなページを駆け回って、意味を理解して、その結果をユーザーに返してくれるような仕組みこそが「World Wide Web」なんだ、と言っていたわけです。
ただ、ウェブができた、いまから約20年くらいまえの1989年当時は、技術的に難しかったわけです。いまのウェブの姿は、そういった知的な理想がどんどん抜け落ちた結果としてあるということは覚えておいた方がいいかもしれません。
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大向一輝(国立情報学研究所) 1977年京都市生まれ。同志社大学工学部卒業。総合研究大学院大学複合科学研究科博士課程修了。現在は国立情報学研究所助教、総合研究大学院大学助教を併任。博士(情報学)。2003年度情報処理推進機構「未踏ソフトウェア創造事業」スーパークリエータに認定。2004年大学院在学中に有限会社グルコースを設立。研究とソフトウェア開発の両面からウェブに関わる。著書に、『ウェブがわかる本』(岩波ジュニア新書、2007年)がある。 |
携帯大学 web分校
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