参加型メディア論(3) ネットワーク時代の編集者
2007年12月23日
「2ちゃんねる」や旅行情報サイトのように、ユーザーからの投稿そのものがメインのコンテンツとなっているタイプのウェブサイトがたくさんあります。CGMと言われるものです。
では、そのサイトが「流行る」か「流行らないか」の鍵は握っているのは誰でしょう。
私は、編集者だと思います。ただし、作家先生と1対1で向き合って勝負をするという従来型の編集者ではなくて、ネットワーク時代の新しい編集者が必要です。
それは前回説明したような、「例えば」が言える編集者です。白紙の状態から何かを生み出す芸術家と違って、一般の人を相手にするわけですから。言及する対象をまずはつくってあげると、人は意見を言いやすいわけです。
私は以前、朝日新聞社の『知恵蔵』の若者用語のコーナーを5年間ひとりで担当していました。このコーナーはその年の流行語を集めるというものなので、多くの若い人から、まるで「投稿」のようにたくさんの情報をもらわないと真実に近づけません。
「個人の力」に頼るのではなく、無名の大勢の人の力をどのように使うか。ネットワーク時代の編集者はそこに意識的でなければ行けないでしょう。
橘川幸夫(株式会社デジタルメディア研究所、株式会社オンブック、教育CSR会議 代表) 1950年2月4日、東京生まれ。72年、渋谷陽一らと音楽投稿雑誌「ロッキング・オン」創刊。78年、全面投稿雑誌「ポンプ」を創刊。その後、さまざまなメディアを開発する。83年、定性調査を定量的に処理する「気分調査法」を開発。商品開発、市場調査などのマーケティング調査活動を行う。80年代後半より草の根BBSを主催、ニフティの「FMEDIA」のシスオペを勤める。96年、株式会社デジタルメディア研究所を創業。2004年、オンデマンド出版事業を行う株式会社オンブックを創業。06年、全国の公立小中学校の教育コンテンツを提供するオンデマンド型教育コンテンツ・プラットホーム(ODECO)をスタート。その他、インターネット・メディア開発、企業コンサルテーションなどを行う。原稿執筆、講演など多数。 <web> |
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