参加型メディア論(1) 参加型メディアのはじまり
2007年12月 9日
1970年代の後半から、『ポンプ』という投稿雑誌の創刊編集長をしていた時期があります。
投稿雑誌とは、全ページが読者からの投稿で構成された雑誌です。写真もイラストもテキストも全てが投稿です。なおかつどのテキストにも、住所・氏名が書いてある。そうすると読者同士が連絡を取り合うことができるわけです。個人情報云々がまだ言われてなかった頃です。今思うとすごい時代でした。
もちろん、それまでにも投稿でつくられている雑誌はありました。ただ、それらは作品主義だったので、芸のうまい人の作品が雑誌に載る、コンテストシステムを採用していました。
しかし、私たちは普通の人が普通のことを考えている、ということが投稿雑誌の面白さだと思っていました。だから、文章がうまいから載せるという話ではなくて、より多くの、多様な情報を『ぴあ』のように情報誌的に載せていったわけです。
この雑誌は、極論すればインターネットそのものでした。つまり「参加型メディア」という本質の部分で同じだったのです。私が知っている限り、『ポンプ』は一番最初の参加型メディアだったのではないでしょうか。
橘川幸夫(株式会社デジタルメディア研究所、株式会社オンブック、教育CSR会議 代表)
1950年2月4日、東京生まれ。72年、渋谷陽一らと音楽投稿雑誌「ロッキング・オン」創刊。78年、全面投稿雑誌「ポンプ」を創刊。その後、さまざまなメディアを開発する。83年、定性調査を定量的に処理する「気分調査法」を開発。商品開発、市場調査などのマーケティング調査活動を行う。80年代後半より草の根BBSを主催、ニフティの「FMEDIA」のシスオペを勤める。96年、株式会社デジタルメディア研究所を創業。2004年、オンデマンド出版事業を行う株式会社オンブックを創業。06年、全国の公立小中学校の教育コンテンツを提供するオンデマンド型教育コンテンツ・プラットホーム(ODECO)をスタート。その他、インターネット・メディア開発、企業コンサルテーションなどを行う。原稿執筆、講演など多数。 <web> |
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