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合原亮一の「電脳自然生活」

環境問題から生き方まで、地球ととことん付き合う方法論を模索する。

発表されている線量の見方

2011年4月 1日

知人から線量の判断について質問された。一般的な解説が必要と思ってはいるのだが、実際のところ多様な要素を判断しなければならないので簡単には説明出来ない。本質的な話としては、全ての人が複雑な核物理学を理解していなければ自分の身を守れない社会がおかしい。しかし残念なことに既にそういう社会になってしまっている。参考になればと、知人への回答を少しだけアレンジして公開します。

なお、どなたの質問にも内容的、量的に出来る範囲でお答えしますが、回答は公開されるという前提で質問して下さい。

以下質問です。

4月に郡山引っ越す予定ですが、どうしたものか、思案に暮れています。原発からはざっと60kmといった距離です。放射能濃度が気になるので、郡山市のHPからデータをダウンロードして、分かりやすいようにエクセルでグラフにしてみました。(赤いグラフが郡山です)

fukushima.png

元になった福島県内各地方環境放射能測定値(暫定値)推移

今までの一般的な理解では、SPEEDIのシミュレーション結果もですが、原発から北西方向の福島市や南のいわき市方向には汚染が伸びているものの、西の郡山には汚染が及んでいないような結果となっております。発生直後からの郡山市のデータでもそのような感じになっています。

しかし、気が付いたことは、郡山市の測定値は、3月24日18:00までは郡山合同庁舎の3階(屋外)で測定していたものが19:00からは同合同庁舎東側
駐車場に変更となっており、この変更により測定値は1.43から3.84に2.41も跳ね上がって(2.68倍!)、福島市並みになっていることです。ちなみに、福島市も駐車場で測定しているとのことです。(pdfの表最下段に測定場所の説明があります。)このグラフの推移からすると、郡山市も最初から駐車場で測定していたら福島市と同様に高い値が出たのではないか、と深刻に疑わざるを得ないと思われます。

そこで、貴兄にお尋ねしたいのですが、モニタリングポストのセンサーについてです。私の理解では、円柱状で片方の端が半球状になっている砲弾型または銃弾型の筺体に納められた装置(ユニット)が適当なポールの上に上向きに取りつけられているものと理解しているのですが、その場合、屋上など地上から相当の距離がある高さに設置された場合には、地上に降下した放射性物質からの放射線をキャッチしにくいのではないか、と思うのです。

すなわち、装置からかなりの鈍角の円錐状に下方に向けて測定の死角が生じているのではないか、このため、駐車場の様な地上直近に設置された場合には、地面の放射性物質からの放射線も至近距離からのものを受けることができるが、屋上などに設置された場合には、地面の放射性物質からの放射線は相当の距離離れた地点のものしか受けられないのではないか、と思うのですが、どんなものでしょうか。考えすぎでしょうか。

この質問に対する僕の回答

原発事故に役立ちそうな情報のまとめ

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プロフィール

川崎重工業人事部・川重米国本社CFOを経てガリレオに参加。ガリレオの業務の傍ら、環境問題、食糧問題に関心を持ち、「電脳自然生活」を目指して有機農業で米、野菜を作る。

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