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合原亮一の「電脳自然生活」

環境問題から生き方まで、地球ととことん付き合う方法論を模索する。

お布団農法の危機(1)

2009年7月16日

お布団農法の田んぼに異変

以前にも書いたように、わが家の米はお布団農法(水稲直播有機栽培)という、ちょっと変わった農法で作っている。直播き栽培の一種なのだが、クズ綿で作った幅1メートル長さ100メートルのフェルトの中に種籾が筋蒔きしてあるものを田んぼに敷き詰めて作る。ロールになっているものをごろごろ転がして敷設して行くだけなので、田植機もいらず、熟練も必要ない。田植に関しては省力的な農法だ。

今年の僕の農業は、突然規模拡大になり、最終的に仲間達と16枚1町歩以上の田んぼを作ることになった。ただ、多忙であまり戦力になれないことが僕自身にとっても残念なところだ。そのうちお布団農法は、例年同様3枚計1反5畝の田んぼで採用している。3枚だけなのには2つ理由がある。1つはまだコストが高いこと。だがより大きな理由は、春に突然規模拡大したために、準備が間に合わなかったことだ。

新しく田んぼを借りる話が出たときには、お布団のロールの手配も、代掻きも間に合わないタイミングだった。直播き栽培の一種であるお布団農法では、お布団の敷設イコール種蒔きとなるので、田植よりも早く敷設しなければならない。敷設までには代掻きも終わっていなければならないのだ。

だがそれが意味があるのだ。兼業農家が普通の勤務をしながら米作りを続けられるのは、週末農業で楽々米作りができる技術体系が確立しているからだ。だがそれでも、田植と稲刈りだけは作業のピークがあり、そのピークによって耕作できる面積が制約されることになる。だからお布団農法と慣行農法を組み合わせれば、少なくとも田植のピークをずらすことができる。

お布団農法以外の田んぼは、苗を作ったり買ったりして、普通の田植をした。普通の田植をすると、必ず雑草が生える。田植に続いて除草しなければならないので、ずっと忙しく、畑に手が回らないという問題が発生した。お布団農法は、ロールを敷いたら後は水管理だけ。それも深水張りっぱなしなので、ほとんど手がかからない。

だから来年はロール代が高くてもお布団農法の比率を増やし、通常の田植や除草の時間を減らして、その分野菜を育てる方に時間を回したいと考えていた。ところが今年のお布団農法は惨憺たる結果に終わったのだ。何しろほとんど発芽しなかったのだ。

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プロフィール

川崎重工業人事部・川重米国本社CFOを経てガリレオに参加。ガリレオの業務の傍ら、環境問題、食糧問題に関心を持ち、「電脳自然生活」を目指して有機農業で米、野菜を作る。

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