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ガリレオの「Wired翻訳裏話」

Wiredの記事選択作業や翻訳作業中に発見したこと、記事に掲載できなかったことなどをいろいろと。

「ピラミッドの人工石」を作ってみた動画

2009年11月 7日

「超コンクリート」の記事についての追記です。

「ピラミッドの石が人工的である」というJoseph Davidovits博士の説自体は、かなり前から提唱されているもののようです。日本のブログでも、たとえば2004年に、詳しく紹介しているページがあります。

ただし、上のブログでは化粧石と訳されていて、つまり、ピラミッドのひとつひとつの石のことではなく、全体を覆っていたとされる化粧石が人造だったと言うように読めるようになっていますが、Davidovits博士のサイトを見ると、同博士は化粧石について言っているのではなく、「500万個ある石灰石のブロック」について語っているようです。

同博士のグループが、実際に「ピラミッド人工石」を当時のやり方を推測して作ってみたという動画もありました。

How the pyramids where built in Egypt from Geopolymer Institute on Vimeo.

同博士は、プレ・インカ文明のティワナク遺跡についても、これまでは巨大な石とされていたものが実はジオポリマーであるという説を唱えているそうです。

この遺跡についての従来の解説では、「遺跡の石材は豆腐状に長方形に切り出されたものが多く、その面は見事に平らである。いずれにせよ、今から千年以上前にこれほどの石材の切り出し加工技術が存在し、かつ鉄を利用せずに加工されていることには驚かされる。これら石材の切り出しや加工方法、それに利用された道具については、諸説あるが、確実なことはわかっていない」とされています。(以下は、低いピラミッド構造をなす遺跡『プマ・プンク』にある、「数トンもある一枚岩」の画像です。)


画像はwikimedia commons

ただし、冒頭で述べたように、「ピラミッドの石が人工的である」というDavidovits博士の説はかなり前から(1980年代から)提唱されているものであり、この説があまり一般に知られていないのはどうしてなのか、何か欠陥があるからなのか?という疑問は残ります。

人工か自然かは、調べれば簡単にわかるのでは?とも思うのですが、そうでも無い模様です。以下は、「ピラミッドの石が人工的であるという証拠」を説明するDavidovits博士の講演ですが、「この区別は簡単にはつかない」ということを冒頭で言っている模様です。

How to analyze pyramid stones from Geopolymer Institute on Vimeo.

ついでに、「超コンクリート」記事で触れられていた、「無筋コンクリートでできた世界最大のドーム」、古代ローマのパンテオン。行ったことはありませんが、写真で見るとすごいです。約2000年前のこの建物の、さまざまな画像を見ることのできるWikimediaのセクションはこちら。以下はそれらの画像のひとつ。

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Wiredの翻訳を担当しているガリレオ。日本国内や世界の様々なところに住む翻訳者や開発者が、ネットワーク上で協業している。Twitterはこちら

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