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荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」

Web上に溢れる調査の中から着目すべきデータを読み解き、次のネットビジネスの予兆を発見してみる

コンテンツとコミュニケーションの戦いとスローメディア

2010年5月19日

(これまでの 荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」はこちら

4月からスタートしたTwitterを扱うTVドラマがTwitter上で話題になっているのを見て、ネットにおける実況の楽しさ、コンテンツの王様としてのコミュニケーション(コミュニケーションよりも刺激的なコンテンツは無い)を再確認させられました。この場合、コンテンツはコミュニケーションの触媒として機能しています。

同じ時期にネットでラジオが聞ける「radiko.jp」の利用者が100万人を超えたなどのニュースもあり、改めて様々な媒体で様々なコンテンツが、生活者の視覚や聴覚だけでなく、“話題”や、生活における“居場所”まで奪い合っているのだなぁと感じました。

ネットとの共存共栄を目指すコンテンツは、radikoなどのようにネット鑑賞のBGM(あるいはBGV)としての機能、もしくはネットにおけるコミュニケーションの触媒(いかにネタとしてネット上で遊んでもらえるか、遊んでもらいやすいか)としての機能を競っています。今後はどんな内容・形のコンテンツサービスが現れるのか、怖くもあり楽しみでもあります。

マルチタスクとか、ながらメディアとか、3スクリーンといったテーマはいつ考えてみても面白いテーマですが、ちょうど最近の調査があったのでご紹介です。

5月7日に米国の調査会社Forresterのブログに若者のメディア消費について下記のようなデータが掲載されました。調査は18歳から24歳の若者が一番最近インターネットを利用した際、同時にとった行動を聞いたもので、最も回答率が高かったのはTVで40%、次点が携帯メールの34%、通話が29%、ラジオ22%、新聞9%と続きます。

(Forrester)

メインメディアとサブメディア、コンテンツとコミュニケーション、視覚と聴覚、能動と受動、主観と客観などなど、いろいろな軸から楽しむことが可能です。右脳と左脳とかのリサーチもあったりするのかも。

マルチタスクが常態化している現在では、TVだけ見る、ネットだけする、音楽だけ聴くということは、ある意味贅沢な情報消費と言えるのではないでしょうか。食事内容だけでなく食事のとり方なども含めて「スローフード」という考え方にのっとって、情報内容だけでなく情報接触の仕方も含めて「スローメディア」と考えてみても良いかもしれません。

視覚を遮断(目隠し)して味覚・触覚・嗅覚で食事を味わう「暗闇レストラン」の記事を読んだことがありますが、それを情報版に当てはめると…手っ取り早く自分でできるのは「TwitterのTLだけを追う(参考URLなどは踏まない、画像も見ない)」、「TVの音声だけを聞く」とかでしょうか。想像力養成ギプスみたいですね。他にもいろんなアイデアがありそうです。

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プロフィール

荒川曜子

1981年生まれ。NEC入社後、法人営業担当を経て、ICT市場調査業務を修行することに。株式会社国際社会経済研究所(旧NEC総研)での約3年間の修行を終え、再びNECで仕事をすることになりました。

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