「ケータイ、何するものぞ」日・米・欧の携帯電話利用動向
2010年10月20日
(これまでの 荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」はこちら)
秋になるときの寒さというのは妙に人恋しさを増幅する気がします。ふと携帯電話にぬくもりを感じたり。今回ご紹介する調査は、今月7日にリリースされた米調査会社Comscoreによる日・米・欧の携帯電話利用動向です。13歳以上の携帯電話ユーザーを対象とした、ネットや様々なアプリ、コンテンツの利用率比較が載っています。携帯電話からのネット利用率は日本:75.2%、米国:43.7%、欧州(イギリス、デンマーク、スペイン、イタリア):38.5%との結果。進んでいる進んでいるといわれる日本の携帯電話利用ですが、確かにネット利用という点では日本は欧州の倍あたりに位置していますね。しかし、この調査からは欧米諸国も案外すぐそこ、という印象も受けました。
リリースの最後にはComscore調査の日米欧におけるソーシャルモバイルメディア上位4サイトが載っていて、欧州と米国ではFacebook、YouTubeなども共通していますが、日本も含めて3地域に唯一共通しているのはTwiterだけです。ケータイとTwitterの相性はどこの国でも良いみたいですね。手紙や電話やFAXに代わってメールが浸透したように、Twitterも何かの代わりになりつつあるのかもしれません。メール、SNS、IMやチャット、あるいはBBS、さかのぼれば電報、井戸端会議、それとも出せない手紙、言えない一言、ロバの耳・・・などなど連想ゲームしてしまいます。
「140文字のコミュニケーション革命」的なフレーズを見かけたような気もしますが、テクノロジーとコミュニケーション手段の変遷を眺めていると、その双方に何かしらの不完全(不自由)さを発見します。テクノロジーの不完全さこそが、まさにコミュニケーションを成立させ、活発化させているのではないか。そしてリアルなコミュニケーション手段の物理的制約(時間、空間など)を解消し、"ちょうど良い"制約に向かってテクノロジーは発達して来たのではないか。などと思う今日この頃です。
Twitterはどんな文化圏のコミュニケーションツールとしても"ちょうど良い"のか。その"ちょうど良さ"はスマートフォン等が普及しても変わることのない"ちょうど良さ"なのでしょうか。流行りモノから目が離せません。
話題をもう一つ。国内ケータイ事情ということでは、18日にauの新機種発表会が行われましたが、やはりスマートフォンが目立ちましたね。スマートフォン関連の調査もたくさんみかけました。今月5日の「期待?抵抗感?所有未経験者のスマートフォンへのイメージ(アイシェア)にはじまり、今月13日の「次に買うケータイは?2人に1人がスマートフォンを支持! [PDF]」(サイバー・バズ)、今月15日の「スマートフォンユーザの7割が良く使いこなしている」(インターネットコム/gooリサーチ)などなど。富士キメラ総研は2009年度に930億円だったスマートフォン市場が2014年度には3,750億円に拡大する(およそ4倍)と予測しています [PDF]。IDCによれば2010年第2四半期(4〜6月)のスマートフォン市場は450億円規模、年間ではグラフを見ると2010年のおよそ2,000億円弱から2014年には5,000億円程度ということのようです(詳しくはリリース元でご確認ください)。何であれ右肩上がりの成長グラフというのは見ていて楽しいものですね。
荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」
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