「ネットで買う」の成熟度-EC利用動向国際比較
2011年1月20日
(これまでの 荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」はこちら)
あけましておめでとうございます。年末年始はグルーポンおせち問題が話題でしたね。ECはもともと書籍や電化製品など、性能・内容が評価しやすい分野で拡大してきましたが、食品やサービスのような、定量的な比較の難しいジャンルまで幅が広がっています。ネットの利用に厚みが出てきたことを感じる一件でした。日本のECは(というか世界のどこでもまだ、ということでしょうが)成熟の途中、しかしとても早い速度で進化しています。というわけで今回はEC利用についての国際比較のご紹介です。
先月、米国のクレジットカード会社MasterCardがアジア太平洋・中東・アフリカ地域におけるEC利用動向調査(2010年版)を発表しました。同社が独自に算出した国別のEC利用指数(ちなみに日本は韓国に次ぐ2位)や、指数の元となったEC利用動向(アンケート調査結果)が掲載されています。たとえば、ネットの利用目的にECと答えた人の割合は1位:韓国(85%)、2位:中国(84%)、3位:日本(75%)、などなど。
この中に、「過去3ヶ月、ネットで買い物をしなかった理由」に「実際の商品を見られる店舗での買い物を好む」と答えた割合、というのも載っています。日本は15カ国の中で2番目に低い38%。「実際の商品を見なくても買う(買いたい)」という心理には、商品ジャンルや商品知識、EC経験、ECインフラの整備状況、など様々な要素が働くと考えられますが、いずれにしろ、その国のECの成熟度をあらわす面白い数字ですね。
グルーポンおせち問題でもうひとつ気になっているのが、消費者の(適正)価格判断の問題です。
こちらも先月になりますが、米国調査会社Nielsenのオンラインセミナー「Connected Devices - Does the iPad Change Everything?」(登録しないと見られませんがいろいろグラフが含まれています)の発表には、iPadユーザーの約8割がコンテンツの価格は適正と考えているという調査結果がありました(「安い」「適正」「高いけど買う」「高いから買わない」のうち、「安い」「適性」と答えた割合が約8割)。
人がモノの価格をいかに判断するのか、というのは興味が尽きないテーマですね。価格破壊に慣れきった今日この頃ですが、そもそもの商品の適正価格について、あらためて考えるべき時がきているのかもしれません。
荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」
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