ネットは全世代的な利用というフェーズへ─米国ネット利用動向
2010年12月21日
(これまでの 荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」はこちら)
急激に寒くなり、風邪も引き、年末を迎えています。年末に体調を崩すとただでさえ良く分からないお祭り状態がより一層せわしない感じになりますね。みなさまご自愛下さい。
さて、今年の締めに、12月16日に発表された米国の調査機関Pew Internet & American Life Projectによるオンライン行動の世代間比較レポートのご紹介です。世代は18〜33歳(Millennials)、34〜45歳(Gen X)、46〜55歳(Younger Boomers)、56〜64歳(Older Boomers)、65〜73歳(Silent Generation)、74歳以上(G.I.Generation)に分別されています。サマリとしては、依然として若い世代が特にSNSやワイヤレスネットの利用など、ネット利用のけん引役であることは変わらないものの、全体として世代間の差は小さくなりつつあるということです。下に引用した図は、それぞれの世代のオンラインでの行動を利用率が高い順に並べたものです。その世代における利用率によって10%刻みで色分けされており、濃い青からグレーへのグラデーションになっています。
図では利用率50%以上のところにラインが入っていますが、きれいに階段状になっていますね。一方でメール、検索などの利用率は世代間の差があまりないといえます。
さて、この図で気になるのは「Health Info」が各世代でメール、検索に次ぐポジションを獲得していることです。何となくの思い込みで年配層では利用率が高いような気がしていましたが、18〜33歳での利用率85%です。
今年10月にニールセンがリリースしたアメリカのモバイルアプリ最新事情(PDF)という調査には、カテゴリ別のアプリDL率およびランキングが載っています。その中で、「ライフスタイル・健康」カテゴリのアプリDL率はスマートフォンで14%/フィーチャーフォンで10%、「家庭・医療」カテゴリはスマートフォン7%/フィーチャーフォン5%となっています。それぞれ全18カテゴリ中17位、18位です。トップは「ゲーム」のスマートフォン61%/フィーチャーフォン52%です。
健康アプリって?ということで、Apple社端末向けアプリストアの「Healthcare & Fitness」カテゴリを見てみると、眠りのサイクルを解析して浅い眠りのときに起こしてくれる目覚ましアプリや、GPSと連動するランニングサポートアプリ、食事のカロリーを計算&記録するアプリなどなどが並んでいます。このラインナップを見ると、確かに「健康」は全年齢的かつ話題の尽きることがない、そしてネットと日常の密着をますます高めるカテゴリだなぁと感じます。
今年1年を振り返る...というほどでもないのですが、不況の混乱から諦めが顕在化し、次の生活スタイルへの移行がより大きく進んだ感があります。その中で、日々の節約から不安の解消まで、ネットの役割もどんどん大きくなってきたように見えます。来年もネット利用がどのように進むのか、楽しくウォッチしていきたいと思います。
荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」
過去の記事
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