このサイトは、2011年6月まで http://wiredvision.jp/ で公開されていたWIRED VISIONのコンテンツをアーカイブとして公開しているサイトです。

荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」

Web上に溢れる調査の中から着目すべきデータを読み解き、次のネットビジネスの予兆を発見してみる

友達をコレクションするゲームとケータイ癖

2009年7月14日

(これまでの 荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」はこちら

DQ9発売が話題ですね。複数人プレイが売りだそうです。私はゲームというものをほとんどしないので、RPGで友達と遊べると聞いても特に何も思わないのですが、話を聞いてちょっと面白そうだなと思ったのが任天堂の「トモダチコレクション」(トモコレ)(今年6月18日発売/DS)です。自分や、自分の友人・知人(あるいは芸能人やスポーツ選手などの有名人でも)のアバターを作成して性格や口癖などの特徴を設定し、あとは簡単なゲームやコミュニケーションを繰り返しながら、それらのアバターが織り成す人間関係(喧嘩したり仲良くなったり恋愛したり)を眺めて楽しむ、といったゲームのようです。ちょっと「あいのり」的な感じでしょうか。売れてるのかなーと思ってファミ通のサイトを見てみたところ、発売週では1位を取り、2週目は2位となって累計17万本と順調のようです。

このゲームのことを考えていて、思い出した調査がありました。6月26日にネプロジャパンが発表した携帯ユーザーへのアンケート調査です。「携帯電話利用にまつわる素朴な疑問II」によると、「暇なときつい携帯を触ってしまう人」は携帯ユーザーの94%ということです。対象が有料の携帯懸賞サイトユーザーなので、傾向が強めに出ていることは間違いなのですが、携帯をついつい触ってしまう人、層というものが存在するということはいえると思います。

(株式会社ネプロジャパン、株式会社ネプロアイティ調べ)

なぜ携帯電話を触ってしまうのか?というのは興味の尽きないテーマです。誰かから、連絡が来ているかもしれない?(来ていて欲しい)という感覚が、つい携帯を触らせるという仮説はどうでしょうか。漠然とした期待感とでもいいましょうか。連絡がきたら連絡を返さなくてはいけない、という考えからチェックを欠かせない、ということもあるでしょう。

この携帯をつい触ってしまうという感覚(漠然とした期待感)と、トモコレで自分や友人・知人の人間関係を眺めたい気持ちって似ている気がした、というのがこの調査を思い出した理由です。携帯依存などという言い方もありますが、コミュニケーションというのは、やはり人をひきつけるものです。何を面白いと思うかは人それぞれですが、(特に自分と誰かの、自分の知っている誰かと誰かの)コミュニケーションは共通的に人を動揺させる、人の心に刺激となるものといえると思います。自分を含む人間関係について、何かしらの変化を期待する気持ちが携帯を触らせる…のかもしれません。トモコレもどのくらいヒットするか、楽しみです。

(マイボイスコム、暇つぶしで携帯電話を利用する人の割合)

さて、他人とのコミュニケーションを抜きにしても携帯電話は有能な暇つぶしツールです。マイボイスコムの調査によると1日に数回以上、携帯で暇つぶしをする人が18.8%もいます。

携帯電話での暇つぶし、利用時間は5分から10分という人が半分以上で、コンテンツではニュースや天気、長時間の暇つぶし目的ではコミュニケーション系のサイトなどが上位に入ってきます(元発表にランキングが掲載されています)。携帯でニュースといえば、3キャリアのプッシュ型情報配信はどれも利用者数を伸ばしています。リアルタイムで何か起きてるかなーという興味・好奇心はついつい携帯を触らせるでしょう。最近随分アツいTwitterと似ていますね。Twitterは大きく言えば人間関係・社会情勢両方の動きをリアルタイムでモニタできるので、ハマると依存度がさらに高くなりそうです。携帯依存とか、Twitter中毒とか、あまり耳障りのいい言葉ではありませんが、心のインフラとして定着!のように前向きに捉えて楽しいことを考えていきたいと思います。

フィードを登録する

前の記事

次の記事

荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」

プロフィール

荒川曜子

1981年生まれ。NEC入社後、法人営業担当を経て、ICT市場調査業務を修行することに。株式会社国際社会経済研究所(旧NEC総研)での約3年間の修行を終え、再びNECで仕事をすることになりました。

過去の記事

月間アーカイブ