米国に浸透するClassifieds広告と物々交換の未来
2009年6月 9日
(これまでの 荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」はこちら)
米国と日本の違いは色んな形で取沙汰されますが、米国におけるClassifieds広告(いわゆる三行広告)の浸透度というのはひとつ面白いなと思います。米国のネット広告団体IABの発表によれば、2008年のネット広告全体に占めるClassifieds広告の割合は14%で31億ドル、検索連動型広告(45%)、ディスプレイ広告(33%)に次ぐ広告ジャンルです。日本のウェブを“三行広告”でGoogle検索すると風俗関係のものが上位を占めるのですが、米国ではClaigslistやKijiji(eBay)などの有力サイトがあり、日常的に広く利用されているようです。(基本的には地域別の「あげます」「ください」〜求人、不動産ほか生活サービスの掲載、やっぱりアダルト関係もある模様)
5月22日に米国の調査機関Pew Internet&American Life Projectから、Classifieds広告サイトの利用率が高まっているというレポートが発表になりました。オンラインのClassifieds広告の利用率は2005年の22%から2009年には49%にまで上昇しているとのことです。
一方で、その間に新聞におけるClassifieds広告の売上は2005年の173億ドルから2008年には99億ドルとほぼ半減している…という数字も掲載されています。オンラインのClassifieds広告サイト利用の伸びは、紙メディアの時代から生活に浸透していたものがネットに移行しているが故の伸び率ということでしょうか。
オンラインのClassifieds広告のユーザー像はというと、全体での利用率が49%であるのに対し、25〜34歳の年齢層での利用率が62%と最も高く、次が35〜44歳での57%、18〜24歳での利用率は49%となっています。世帯年収別だと年収が高い世帯ほど利用率が高くなっています。2005年と2009年のユーザー調査の比較グラフはこちら。
日本のウェブで三行広告的なものといえば、Yahoo!なんでも交換や、日本版Kijiji、物々交換のシェアモなどのサービスが思い浮かびます。企業広告という点から見れば出前館のような地域で探せるネット予約サービスや、iタウンページもありますね。現在、個人による不用品の処分ということでは、どちらかというと小売店による下取りサービスや、リサイクルショップの方に勢いを感じます。ネットだと「あげます」「ください」よりは、オークションが幅を利かせている感じでしょうか。不景気が消費のモデルを変えれば、モノのライフサイクルも変わると思うので、「あげます」「ください」に関して、ネットでももっと色々なサービスが出てきそうですね。日本で発達している電車やコンビニなどのインフラを使ったサービスなども…面白そうです。
おまけに、先日のアイシェアの調査では、不要な衣服の処理では「売る」より「寄付」のほうが経験・関心ともに高いようです。
荒川曜子の「それはWeb調査から始まった」
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