『スパイアニマル・Gフォース』レビュー:“はみ出し効果”で3Dの楽しさアップ
2010年3月12日
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危険な政府の任務を遂行する、高度な訓練を受けた知的なスパイアニマル“Gフォース”。だが、スパイたちにはちょっとした秘密があった……彼らはモルモットだったのだ!!
機械による殺人マシーンの軍勢が全米のあらゆる家庭に向けて臨戦態勢を整えた。邪悪な億万長者、レナード・セイバーに(ビル・ナイ)による想像を絶する破壊的な計画を阻止できるのは、Gフォースをおいてほかにない。高度な訓練を受けたGフォースなら、進化したコミュニケーション能力と戦闘技術を駆使して、人知れず隠密で行う極秘任務を、今までは不可能だった精度で遂行できるはずだ!!
かわいいルックスでやることはハード…そんなGフォースが、人類の未来を賭けた政府の最高機密ミッションに臨む!(プレス資料より)
動物を軍事利用するという話は、ワイアードの読者なら決して絵空事ではないことをご存じだと思うし、たとえば『ゴキブリを軍事利用:米軍の計画』(日本語版記事)のアイデアを発展させたかのような精鋭のゴキブリ軍団が『スパイアニマル・Gフォース』にも登場する。
動物が主人公の「実写+CGアニメ」映画(主要な動物キャラは完全にCGで描かれている)とくれば、子供向け映画だと思われがちだが、保護者の父母が見ても楽しめるギークなネタや恋愛要素もしっかり盛り込まれている。同じディズニー配給の『カールじいさんの空飛ぶ家(レビュー)』では「バウリンガル」ネタがあったが、今回もそれの改良版のような装置でモルモットやモグラたちと人間が会話する。エージェントたちが携行するPDAに「動物版Twitter」の画面が映るシーンも。『トランスフォーマー』ネタも登場するが、これは本作の製作を務めるジェリー・ブラッカイマーと『アルマゲドン』などのアクション超大作で度々タッグを組んできたマイケル・ベイ監督とのつながりがあればこそだ。
3Dに関して今回特に紹介したいのは、タイトルにも書いたとおり「はみ出し効果」について。これは、通常場面のフレームサイズを、映写機で投影可能なフルサイズよりも若干小さめに映しておき、ここぞという「飛び出す3D」のショットで、被写体のキャラや火花、水滴などが通常フレームからはみ出すように見せるテクニック。ディズニーは本家の英語サイトで上映館向けの技術資料『G-Force 3D Flat Framing Chart』(PDF)を公開しているが、2ページ目右上の画像を見ると、上下の黒い帯(通常フレームでは何も映らない部分)から、パラシュートで降下中のモルモットがはみ出して映っているのが確認できる。
このテクニックにはまだ特定の呼び名がないようだが、資料には"a 3D technique that makes use of breaking the frame"とあるので、「3Dフレームブレイキング」といったところか。この3Dフレームブレイキング、単純な発想のようだが意外にインパクトがあるので、今後の飛び出し系3D映画に採用が広がるかもしれない(ディズニーは本作のほかにも、最近の3D映画の資料を掲載しているので、興味のある方はあわせてどうぞ)。
最近は3D映画のタイプにも広がりが出てきて、飛び出すギミックよりも奥行き感を強調し、観客に没入感をもたらす作品が増えてきた。それでも、『スパイアニマル・Gフォース』のように、バンバン飛び出してくるアトラクション感覚の映画にはほかに代え難い魅力がある。ギークな要素もキュートな動物たちのおかげでうまい具合に緩和されているので、男性読者諸氏にはぜひ女の子や家族を誘って一緒に楽しんでいただければと思う。
[作品情報]
『スパイアニマル・Gフォース』 原題 G-FORCE
監督:ホイト・H・イェットマン, JR.
製作:ジェリー・ブラッカイマー
視覚効果スーパーバイザー:スコット・ストクダイク
音楽:トレヴァー・ラビン
音楽監修:キャシー・ネルソン
キャスト:ビル・ナイほか
ボイスキャスト:ニコラス・ケイジ、ペネロペ・クルス、スティーヴ・ブシェミ、ジョン・ファヴローほか
日本語吹替え版キャスト:ゴリ(ガレッジセール)、川田広樹(ガレッジセール)
*劇場公開は日本語吹き替え版のみ
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ and ジェリー・ブラッカイマー・フィルムズ
2009年/アメリカ映画/ドルビーSRD/シネスコ/1時間29分
翻訳:石田泰子
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
3月20日(土) 全国一斉ロードショー
公式サイト
[以下はWaltDisneyStudiosUKチャンネルが公開している予告編動画。]
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